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濡女

ぬれおんな

濡女

濡女

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基本説明

濡女(ぬれおんな)は海辺や川辺に現れる、蛇身に女の頭をもつ怪である。腰から下は鱗に覆われた長大な蛇体で、上半身は女、いつも濡れたままの黒髪を垂らし、その名もこの姿に由来する。鳥山石燕『画図百鬼夜行』は風の巻に、長い髪を水に浸した女面の蛇体としてこれを描き、絵巻系統の濡女像を定着させた。石燕に先立つ佐脇嵩之『百怪図巻』ら江戸前期の妖怪絵巻にも蛇体の女怪が見え、絵師の手を経て図像が受け継がれてきた経緯がうかがえる。西日本の海辺では、濡女が抱いた赤子を通りかかった人に押しつけ、受け取った途端それが重い石と化して動けなくする話型が語られ、牛鬼と組んで人を襲う異伝も伝わる。九州の磯女や濡女子(ぬれおなご)と近縁視され、ウミヘビの化身とする説もあるが、蛇体視は主に絵画資料からの解釈で、一次史料の裏づけは乏しいとされる。長い濡れ髪と水辺、抱き子で人を縛る性状が、西日本一帯の水の女怪に共通する核として語り継がれてきた。

民話・伝承

島根県石見地方では、濡女が海辺に現れて抱いた赤子を人に渡し海へ入ると、続いて牛鬼が現れて人を襲うと伝える。赤子は受け取るや重い石となって離れず、手放せぬまま身動きがとれぬうちに牛鬼に喰われ命を落とすとされ、濡女を牛鬼の化身とみなす説もある。大田市の伝承では、追い詰められた牛鬼が「残念だ」と発した声が濡女のものと同じであったといい、二者を一体とする見方を支える。一方、絵巻に描かれる蛇身の濡女像と石見の口承とを直接結ぶ一次資料は確認されておらず、図像と説話は別系統で伝わってきたと見るべき余地が大きい。藤沢衛彦『妖怪画談全集日本篇』は、文久年間の越後国の話として濡女を挙げるが、その一次出典は明示されておらず、近代の妖怪研究が各地の断片を集成する過程で像が整えられた側面もうかがえる。話型を比べると、濡れ髪・蛇体・抱き子で人を縛るという要素は、九州沿岸の磯女や四国・中国地方の濡女子とも重なり、海女漁や磯辺の暮らしに根ざした水辺の女怪群の一類型として整理できる。海から不意に立ち現れ、子を介して人を動けなくするという恐怖の構造は、波打ち際という生死の境を生きた沿岸の人々の心性をよく映している。

妖怪カード2

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徹底解説

海浜や河岸に現れ、濡れた長髪の女として目撃される。地域により、赤子を抱かせて足を奪う型、あるいは蛇身・長大な尾を想起させる威圧的な水怪として語られる。江戸の妖怪画には蛇体の女が多いが、物語資料の実証は乏しい。石見では牛鬼と関わる水妖として位置づけられ、対処法として素手で抱かぬことが説かれる。近縁の磯女と混称される例もあり、呼称や性質は土地ごとに幅がある。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

妖怪タイプ
伝統妖怪
カテゴリ
水の怪
レアリティ
名妖
性格
寡黙で執拗
相性
水域に近づく者と相克
能力・特技
水辺での誘引(赤子を介した惑わし)身体を濡らして姿を隠す擬態長い髪や尾による拘束
弱点
素手で抱かない作法による回避, 水場から距離を取ること
生息地
海辺・磯, 河川の川岸, 入江・潟湖

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出典・参考文献

3
  1. 百怪図巻佐脇嵩之(福岡市博物館(DNPアートコミュニケーションズ画像提供), 元文2年(1737年)) [古典図像]佐脇嵩之『百怪図巻』所収の産女図。元文2年(1737年)。
  2. 怪異・妖怪伝承データベース「磯女」国際日本文化研究センター(国際日本文化研究センター, 2002-) [研究資料] 参考資料全国の民俗誌・地誌から採録した怪異伝承の検索データベース。磯女の天草・島原・対馬など九州各地の伝承事例を収める。
  3. 妖怪画談全集 日本篇藤沢衛彦(中央美術社, 昭和4年(1929年)) [reference] 参考資料民俗学者・藤沢衛彦が石燕らの妖怪画に解説を付した集成。ぬらりひょんを「化物の親玉」風に説いた早い例とされ、後の『総大将』像の起点となった。

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