図画・寓意的表象(石燕本)についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。
栄螺鬼
さざえおに
カテゴリ
動物変化
性格
起源
不詳
栄螺鬼
さざえおに
基本説明
江戸期の絵師・鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれた、サザエが鬼と化した姿の妖怪。貝の身や蓋に人の腕や眼が生えたように表され、変成譚の寓意として示される。図は『礼記』の変化譚を下敷きに、自然物が異形へ転ずる造化の不可思議を示す趣向で、特定の土地伝承よりも画題・観念的妖怪として知られる。近世絵巻にも類似像が見られる。
民話・伝承
近世の実在伝承は明確でなく、石燕の画作に基づく観念的な存在として語られる。百鬼夜行絵巻の中には、栄螺に似た妖が蛤の子を伴う図様があり、海辺の貝類を擬人化した群像の一例とされる。昭和以降には後代の創作的説話が流布したが、在地の古伝としては確認が乏しく、典拠に慎重を要する。