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陰陽道と祈祷・辟邪

陰陽道と祈祷・辟邪

7体の妖怪
注目

陰陽道(おんみょうどう)は、星や方位、自然現象を読み解き、人々の運命や世の中の吉凶を占う日本独自の学問体系として発展しました。その中心にいたのが伝説的な陰陽師・安倍晴明です。彼にまつわる物語は、平安時代から現代に至るまで語り継がれています。さらに、魔を祓う神として信仰された鍾馗や、知恵を授ける霊獣・白沢、そして東西南北を守護する四神――青竜・白虎・朱雀・玄武――は、いずれも陰陽道の思想と深く結びついています。本コレクションでは、祈祷や辟邪の象徴として崇められた存在を紹介し、日本人が古来から抱いてきた「魔を退け、福を招く」信仰の世界を辿ります。

更新: 2026/3/23
陰陽道祈祷辟邪

収録妖怪

7体の妖怪が収録されています

この妖怪たちのアートカードも見つかります

全 16 枚のカード — 浮世絵、現代日本…

安倍晴明

安倍晴明

伝説

あべのせいめい

宮廷陰陽師・安倍晴明

霊・亡霊京都府

平安中期に実在した陰陽師。賀茂忠行・保憲父子に天文道・陰陽道を学び、宮廷で天文・暦・卜占を司り、祓や反閇を奉仕したと史料に記される。花山・一条両天皇や藤原道長の信を得た記事が日記類に残り、天文博士を兼ねて安倍氏(のちの土御門家)による陰陽道の家伝を確立した。後世、説話集や縁起で術者としての逸話が増幅し、式神を自在に操って妖異を退ける陰陽師像の典型となった。源頼光の鬼退治譚においては、鬼の所在を占で突き止める狂言回しとして語られる。

青竜

青竜

神格

せいりゅう

東方を護る四神・青竜

動物変化奈良県

青竜(せいりゅう)は、東方を守護する四神(しじん)の一にして、天の二十八宿のうち東方七宿を竜の形に象った霊獣である。五行では「木」、五色では「青(蒼)」、季節では春に配され、東という方位そのものを体現する。中国の星宿信仰に発し、『淮南子』天文訓では東方の獣を蒼竜とし、五方・五行・五帝と完全に対応づけられた。古代に日本へ伝わったのちは、陰陽道や都城の地相観に組み込まれ、方位鎮護の標として図像化された。

白虎

白虎

神格

びゃっこ

西方を護る四神・白虎

動物変化奈良県

白虎(びゃっこ)は、西方を守護する四神の一にして、天の西方七宿を虎の形に象った神獣である。五行では「金」、五色では「白」、季節では秋に配され、白毛の猛虎として表される。中国の星宿・五行思想に発し、『淮南子』天文訓では西方の獣を白虎とした。古代日本に受容されたのちは、青竜と対をなして方位鎮護・結界の標として図像化された。

朱雀

朱雀

神格

すざく

南方を護る四神・朱雀

動物変化奈良県京都府

朱雀(すざく)は、南方を守護する四神の一にして、天の南方七宿を鳥の形に象った霊鳥である。五行では「火」、五色では「朱(赤)」、季節では夏に配される。古典ではしばしば「朱鳥(すちょう)」とも記され、『礼記』曲礼は「前朱鳥にして後玄武」と四神を方位の標とした。中国に成立した方位・五行の思想とともに古代日本へ受容され、平安京の朱雀大路・朱雀門にその名を残す。

玄武

玄武

神格

げんぶ

北方を護る四神・玄武

動物変化奈良県

玄武(げんぶ)は、北方を守護する四神の一にして、天の北方七宿を象った霊獣である。しばしば亀に蛇が巻きついた姿(亀蛇相絡)で表され、五行では「水」、五色では「玄(黒)」、季節では冬に配される。中国の星宿信仰に発し、『淮南子』天文訓では北方の獣を玄武とした。古代日本に受容されたのちは、背後に山を負う「玄武」の地相を吉相とする四神相応の観念とともに語られた。

白沢

白沢

神格

はくたく

万事を見通す瑞獣・白沢

神霊・神格中国 (『白沢図』由来・江戸期に辟邪図として流布)

白沢(はくたく)は、中国の古伝承に由来する瑞獣で、人語を解し天下の妖異・鬼神・病災のことごとくに通暁するとされる。麒麟や鳳凰と同じく、徳ある聖王の世にのみ姿を現す瑞祥の獣と位置づけられ、その口から授けられた知識を書き留めたのが妖怪除けの書『白沢図』であったと伝える。図像の典型は獅子に似た白い獣で、牛のような二本の角をもち、額や胴の側面に複数の眼を備える──鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』では頭部に三眼、左右の胴に各三眼を配した「九眼」の姿に描かれ、これが後世の日本の白沢像の基準となった。額の眼や全身の眼は、あらゆる妖異を見通す全知性の表象と解される。日本では江戸期にこの図そのものが辟邪(へきじゃ)の護符として流布し、旅の安全や病魔除け、さらには悪夢を食らうとされる獏(ばく)と並んで悪夢除けにも用いられた。重要なのは、白沢が妖怪を腕力で「退治する」獣ではなく、妖怪を知り尽くすことで人にその正体と防ぎ方を教える、知と分類の象徴としての神獣だという点である。すなわち未知の災いに名を与え、対処法を整理して人に手渡すところに本領があり、妖怪学の祖型ともいえる存在として尊ばれた。なお角や眼の数、獅子形か牛形かといった姿の細部は文献・絵師により差異があり、一定しない点には注意を要する。

鍾馗

鍾馗

神格

しょうき

鬼を踏み伏す魔除け・鍾馗

神霊・神格京都府

鍾馗(しょうき)は、中国唐代の説話に由来する辟邪(へきじゃ)の神格で、鬼を捕らえ食らう威をもって疫鬼を退ける守護神として崇められる。図像は、濃い髭をたくわえ、官人の袍と幞頭(ぼくとう)をまとい、大ぶりの剣を帯びて鬼を睨み据える、いかにも勇猛な姿に描かれる──玄宗の夢に現れて疫鬼を退治した大鬼として、北宋の沈括『夢渓筆談』が早くにその容貌を記している。日本では平安末期の辟邪絵にすでに鍾馗の図像が認められ、後世には疱瘡(ほうそう)除け・疫病除けの神として、また科挙の進士であった伝承にちなみ学業成就の守護としても信仰された。江戸期になると、端午の節句に鍾馗を描いた幟(のぼり)を立て、室内に掛幅や五月人形として飾る習俗が関東に広まり、一方で近畿、とりわけ京都では屋根の上に小さな鍾馗瓦(かわら)を据えて魔除けとする独特の習俗が定着した。剣を手に鬼を踏まえる怒りの形相は本来きわめて恐ろしいが、その恐ろしさを「こちら側」の守りに転じ、より強い力で災厄を跳ね返させるところに、鍾馗信仰の発想がある。なお容姿や持物の細部は時代・地域・絵師により差異がある。

このコレクションと響き合うサガ

「陰陽道と祈祷・辟邪」の妖怪たちが連なる系譜を辿ってみよう。