神格
伝統妖怪

基本説明

青竜(せいりゅう)は、東方を守護する四神(しじん)の一にして、天の二十八宿のうち東方七宿を竜の形に象った霊獣である。五行では「木」、五色では「青(蒼)」、季節では春に配され、東という方位そのものを体現する。中国の星宿信仰に発し、『淮南子』天文訓では東方の獣を蒼竜とし、五方・五行・五帝と完全に対応づけられた。古代に日本へ伝わったのちは、陰陽道や都城の地相観に組み込まれ、方位鎮護の標として図像化された。

民話・伝承

青竜を含む四神の体系は、まず中国の天文学のなかで形づくられた。天の星々を四方に分け、東方七宿の連なりを竜に見立てたのが青竜である。その古さは考古に裏づけられ、戦国初期の曾侯乙墓の漆衣箱(前四三三頃)には、北斗と二十八宿の名とともに、青竜と白虎が左右に描かれている。文献では『礼記』曲礼が「左青龍にして右白虎」と行軍の配置に四神を用い、『史記』天官書は天の東宮を蒼竜とした。

日本における青竜の確かな初出は、『続日本紀』が記す大宝元年(七〇一)正月元日の朝賀儀礼である。藤原宮の大極殿前に立てられた幢幡(どうばん)のうち、日像とともに青竜の幡が東(左)に配された。陰陽和合と五行の循環を地上に映すこの四神幡の儀は、幕末まで継承された。

図像としての青竜が四方の他の三神とともに完全な姿で残るのは、飛鳥のキトラ古墳の壁画である。石室の東壁に青竜が描かれ、西の白虎・南の朱雀・北の玄武と相対し、天井には現存最古級の天文図を伴う。日本で四神が四方すべて揃う唯一の例であり、青竜の図像の規範を今に伝えている。

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四聖獣

四神

天の二十八宿を四方に配し、東西南北を守護する四つの霊獣。青竜(東・木)・朱雀(南・火)・白虎(西・金)・玄武(北・水)からなり、中国の星宿・五行思想に発して古代日本へ受容された。飛鳥のキトラ古墳壁画に四方すべて揃う。

徹底解説

青竜は、単独の竜ではなく、四神という方位の体系のなかでこそ意味をもつ霊獣である。この版では、その天文的な起源と、日本での受容を辿る。

起源は天にある。中国の天文学は二十八宿を四方に七宿ずつ配し、東方七宿(角・亢・氐・房・心・尾・箕)の星の連なりを一頭の竜に見立てた。これが青竜である。『淮南子』天文訓は東方の帝を太皞、その獣を蒼竜とし、木気・春に配して、五方・五色・五季・五行を一つの宇宙論に編み上げた。『史記』天官書もまた天の東宮を蒼竜とし、星座と霊獣を結んでいる。青竜の青(蒼)は木気の色であり、東から昇る春の生気を象る。

その古層は遺物に刻まれている。曾侯乙墓の漆衣箱(前四三三頃)は、二十八宿の名を備えた最古の天文遺物で、青竜と白虎を一対に描く。漢代には四神文が瓦当・銅鏡・画像石を飾り、辟邪招福の象徴となった。

日本では、四神は天文・墓制・都城の理論として受け入れられた。『続日本紀』の大宝元年(七〇一)の四神幡が文献上の確実な初出であり、図像としては飛鳥のキトラ古墳東壁の青竜が、四方完備の四神壁画の一翼として現存する。青竜はこうして、東を司り春をもたらす守護獣として、星と地相のあいだに位置づけられたのである。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
静厳で慈護的
相性
水脈と樹木を尊ぶ者と相性が良い
能力・特技
方位(東方)の鎮護木気を旺盛にし環境を調える瑞兆を示し災厄を遠ざける春季の始動を告げる徴と化す
弱点
不明(象徴的存在のため実在的弱点は伝わらない)
生息地
社寺の障壁画・祭具意匠, 方位信仰の結界・地勢観の中, 古鏡・瓦・屏風などの図像

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出典・参考文献

6
  1. 淮南子(天文訓)劉安ほか((前漢の思想書), 前2世紀) [古典文献]東方=蒼竜・南方=朱鳥・中央=黄竜・西方=白虎・北方=玄武と、五方・五行・五帝に五獣を完全配当する体系化の鍵文献。
  2. 曾侯乙墓 漆衣箱(二十八宿図)(戦国楚墓)((湖北省随州出土), 前433頃) [考古資料]蓋に北斗と二十八宿名、左右に青竜と白虎を描く。二十八宿体系が戦国初期に成立していたことを示す最古の天文遺物。
  3. 礼記(曲礼上)(儒家経典)((五経の一), 戦国〜前漢) [古典文献]「前朱鳥にして後玄武、左青龍にして右白虎」と四神を行軍の配置に用いる最古層の記述。
  4. 史記(天官書)司馬遷((前漢の正史), 前1世紀) [古典文献]天を四宮に分け、東宮蒼竜・南宮朱鳥・北宮玄武と霊獣を配する天文学的典拠。二十八宿と四神を結ぶ。
  5. 続日本紀(大宝元年正月元日条) [古典文献]
  6. キトラ古墳 四神壁画(奈良文化財研究所)((特別史跡・国宝、奈良県明日香村), 7世紀末〜8世紀初頭) [考古資料]石室四壁に青竜・朱雀・白虎・玄武が四方すべて揃い、十二支・現存世界最古級の天文図を伴う、日本で四神が完備する唯一の古墳壁画。

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