朧車(石燕図像準拠)についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。
朧車
おぼろぐるま
カテゴリ
住居・器物
性格
起源
京都
朧車
おぼろぐるま
基本説明
朧車は、江戸時代の画家・鳥山石燕が『今昔百鬼拾遺』に描いた牛車の怪。おぼろ夜に軋む車音とともに現れ、牛車の簾の位置に巨大な顔が嵌るように覗く姿で示される。由来は平安の「車争い」に伴う怨みの顕現と解され、宮中行事や加茂の祭礼にまつわる因縁と結び付けられる。百鬼夜行譚との関連も指摘され、器物怪の一類として位置づけられる。
民話・伝承
石燕は「むかし賀茂の大路をおぼろ夜に車のきしる音しけり。出てみれば異形のもの也。車争の遺恨にや」と記す。平安期の祭礼での牛車の場所取り争いが背景にあり、『源氏物語』の六条御息所の怨念譚が想起されることが多い。『宇治拾遺物語』の加茂祭見物に伴う怪異譚や、夜に群行する妖怪譚(百鬼夜行)のイメージとも通じ、朧夜に車音を聞いた者が外へ出ると異形の車が立ち現れると語られる。