基本説明
朧車は、江戸時代の画家・鳥山石燕が『今昔百鬼拾遺』に描いた牛車の怪。おぼろ夜に軋む車音とともに現れ、牛車の簾の位置に巨大な顔が嵌るように覗く姿で示される。由来は平安の「車争い」に伴う怨みの顕現と解され、宮中行事や加茂の祭礼にまつわる因縁と結び付けられる。百鬼夜行譚との関連も指摘され、器物怪の一類として位置づけられる。
民話・伝承
石燕は「むかし賀茂の大路をおぼろ夜に車のきしる音しけり。出てみれば異形のもの也。車争の遺恨にや」と記す。平安期の祭礼での牛車の場所取り争いが背景にあり、『源氏物語』の六条御息所の怨念譚が想起されることが多い。『宇治拾遺物語』の加茂祭見物に伴う怪異譚や、夜に群行する妖怪譚(百鬼夜行)のイメージとも通じ、朧夜に車音を聞いた者が外へ出ると異形の車が立ち現れると語られる。
コレクション収録
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
徹底解説
鳥山石燕の図像と江戸期解釈に基づく朧車の像。半透明の牛車が朧夜に現れ、簾の位置を巨大な顔が塞ぐ。背景には平安期の車争いなどの遺恨があるとされ、個人の名指しや特定事件に直結させず、祭礼や見物の場で生じた社会的緊張が器物に宿った怪異として表象される。百鬼夜行の列に加わる存在としても理解され、音(軋む車輪)と姿(顔を持つ牛車)の二重の徴で人を驚かす。直接の加害は必ずしも語られず、恐怖と不吉の徴しとして現れ、目撃者に畏れを抱かせ退かせる類型が多い。器物怪の性格上、古い車や祭礼具が舞台となり、場所取りや見物の混乱が語りの誘因となる。過度な具体化は避けられ、朧夜と車音が出現の記号として伝えられる。
妖怪設定
この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。
- 性格
- 怨念に引かれて出没する寡黙で執念深い存在
- 相性
- 争いや妬みの気配に集まりやすい
- 能力・特技
- 朧夜に現れて車輪の軋む怪音を響かせる簾の位置に顔を顕し人心を怯ませ退かせる古い牛車や行列に付喪じる
- 弱点
- 夜明けとともに衰える, 争いの鎮静や場の整理で現れにくくなる
- 生息地
- 京都・賀茂の大路周辺, 祭礼の行列路, 人通りの絶えた夜道
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