江戸期の奇談や本草の記述に基づく磯撫で像を整理した版。海面を乱さず寄せ、海の色や風の変化のみを兆しとして示す点を重視する。身体はサメ様で、尾から背にかけて粗い突起や針状の器官を持つと語られる。現れる時節は寒風の立つ折が多く、特に北風が強い日に警戒された。船人は賑やかな作業を避け、網や縄を整理し甲板の縁に身を寄せぬなど、海難回避の作法と結びつけて語り継いだ。土地ごとに名称や細部は揺れがあるが、核心は「気づけば遅し」という不可視の接近と、尾の一撃による転落の恐怖である。近世の記録は、海上の危険認識と戒めの語りとしての性格も示す。
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