Bakeneko(bah-keh-NEH-koh)

Basic Description

A domestic cat that has grown old and gained supernatural powers. Said to take human form, speak, manipulate the dead, cast curses, and more; often confused with the nekomata. Licking lamp oil is viewed as a sign of impending strangeness, and long-tailed cats were believed more likely to transform. As cities expanded, everyday cats took on a mystical aura, and Edo-period books and prints popularized the image.

Folklore & Legends

The belief that old cats transform is widespread, and many regions set limits on how long cats should be kept. The three major cat disturbances are known as the Nabeshima Bakeneko Incident, the Arima Cat Disturbance, and the Okazaki Cat Disturbance—though some cite Omatsu Daigongen of Tokushima instead of Okazaki due to the latter’s kabuki origins. Recorded motifs include cats donning hand towels to dance, understanding human speech, and leading travelers astray in the mountains. The habit of licking lamp oil is noted in early modern sources as a suspicious behavior.

Yokai Cards1

Bakeneko across multiple art-style decks

Card gallery

Maya Calendar Guardian KINs

Displaying the Maya calendar KINs that Bakeneko protects.

Detailed Analysis

化け猫は一つの姿ではない

「化け猫」と聞けば、年老いた猫、二本の尾、行灯の油、女性への変身、主人の仇討ち、青い火などが一度に思い浮かぶかもしれない。しかし、それらは同じ時代の一匹へ最初から備わっていた特徴ではない。中世の猫胯、家の老猫をめぐる近世怪談、猫またの絵、歌舞伎の怪猫、鍋島物、怪猫映画が、それぞれ別の場面を加えてきた。

化け猫は、固定した生物種というより、猫が人間の理解を越える瞬間を集める大きな名前である。家の中で最も身近な動物の一つでありながら、夜に活動し、音を立てずに歩き、人の指図だけでは動かない。古い記録、怪談、妖怪画、舞台、映画は、その身近さと分からなさをそれぞれ異なる姿で表してきた。

一二三三年、
南都から届いた猫胯の噂

猫怪異の古い記録として重要なのが、藤原定家『明月記』天福元年八月二日条である。。定家はその風聞を京都で聞き、都へ広がることを恐れて記した。

この獣は、飼い猫が長生きして人へ化けたものとは説明されない。尾の数も書かれず、「南都七郷」と範囲を広げる言葉も原文にはない。現在の化け猫の初目撃ではなく、中世に「猫胯」という名で恐ろしい獣が語られた前史である。

猫まただと思ったものは飼い犬だった

。

ここには、老猫の変化という考えが十四世紀頃に語られていた証拠と、恐怖が見慣れた動物さえ別物に見せるという笑いが同居する。犬は猫またを倒したのではない。この話から「犬が化け猫の弱点」という規則を作ることはできない。

家族の姿を借りる猫

。。

見知らぬ妖怪が戸口を破るのではなく、毎日餌を与えてきた猫が、最も親しい人物に似た姿を見せる。作品が用いる名は猫またなどであり、現在の化け猫と完全に同一の分類ではないが、年経た家猫をめぐる怪異が家の内部で語られた重要な例である。

何年生きれば化けるのか

猫が長寿によって変化するという考えは古いが、共通する年数はない。寺島良安『和漢三才図会』「猫」は、を載せる。ほかの資料や後世の解説には別の年齢、体重、尾の長さが現れる。

「十有余年」はこの資料に現れる目安であり、化け猫全体を判定する時計ではない。十年、十二年、十三年、二十年のどれかを一律の規則にすると、個別の資料が持つ違いを失ってしまう。

手拭いをかぶる猫と踊る猫

。一方、。

手拭い、直立、踊りは近い印象を与えるが、同じ文章の一場面ではない。。また、。似た動作でも、資料と地域を分けて読む必要がある。

二本の尾は猫またの代表図像

二本の尾は、現在の猫又を見分ける最も有名な印である。鳥山石燕『画図百鬼夜行』「猫また」では、猫が手拭いをかぶり、二本の尾を見せて後足で立つ。だが一二三三年の猫胯にも、『徒然草』の猫またにも、尾の数は書かれていない。

手拭いをかぶり、二本の尾を見せて後足で立つ鳥山石燕の猫また
鳥山石燕『画図百鬼夜行』の「猫また」(1805年刊本)
作品上の名称は「猫また」。『画図百鬼夜行』初版は安永五年(一七七六)、掲載画像は文化二年(一八〇五)刊本であり、化け猫一般の姿を示す図ではない。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』「猫また」、文化二年(一八〇五)刊、国立国会図書館所蔵。出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
掲載画像は、国立国会図書館「NDLイメージバンク」が示す「猫また」の主体範囲を使用しています。

この図の作品上の名は、あくまで「猫また」である。であり、化け猫一般の原典画ではない。化け猫と猫又は歴史上重なる部分を持つが、「一尾から二尾へ進化する」という共通の成長段階は確認できない。

行灯の油は力の源なのか

。書かれているのは観察のしるしであり、油を飲めば妖力を得るという仕組みではない。

手拭い、直立、行灯の油を一画面に組み合わせた現代画は、複数の近世資料に見える母題をまとめた再構成である。古い文章の一節と、後世に構成された一枚の絵を区別すれば、どの要素にどの根拠があるかを正確にたどれる。

「岡崎の猫」が舞台で巨大になる

文政十年(一八二七)初演の『独道中五十三驿』は、東海道をめぐる長い筋の中に老婆おつた実は怪猫という趣向を置いた。。通称をそのまま愛知県岡崎の実在事件や古い民話地点へ変えることはできない。

巨大な猫の顔と尾を背景に、女性と亡霊、炎を配した歌川国芳の怪猫芝居絵二枚続
歌川国芳「Scene from a Ghost Story: The Okazaki Cat Demon」
歌川国芳、約一八五〇年。歌舞伎の通称「岡崎の猫」に関わる怪猫場面を、巨大な猫の顔として現した芝居絵。掲載画像はThe Metropolitan Museum of Art所蔵の二枚である。
Utagawa Kuniyoshi, Scene from a Ghost Story: The Okazaki Cat Demon, ca. 1850, The Metropolitan Museum of Art, JP1563

歌川国芳の約一八五〇年の二枚続では、背景いっぱいの猫の顔、輪を描く尾、女性、亡霊、炎が一度に現れる。。これは猫の自然な姿を記録した図ではなく、通称「岡崎の猫」に関わる舞台の怪猫を大きな尺度で見せる芝居絵である。

鍋島の猫はどのように長編になったか

鍋島怪猫譚には、実在する家名、御家騒動、忠義、女性の怨念、仇討ち、猫の変身が重ねられた。。早川由美の論文題名では同作を『花嵯峨猫魔稿』と記すため、二つの表記を混同せず、それぞれの出典どおりに示す。

怪猫へ向き合う小森半之丞役の助高屋高助を描いた左枚
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕(1880年)
浪島大守と、人面の白い怪猫として現れた坂東彦十郎を描いた中央枚
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕(1880年)
愛妾お豊の方を演じる沢村百之助を描いた右枚
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕(1880年)
楊洲周延「鍋島の猫」(歌舞伎『嵯峨奥妖猫奇談』、明治十三年〔一八八〇〕十月、市村座)、版元・松下平兵衛、三枚続。画面左から、小森半之丞(助高屋高助)、浪島大守(中村時蔵)と怪猫(坂東彦十郎)、愛妾お豊の方(沢村百之助)。
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕、明治十三年(一八八〇)、国立国会図書館デジタルコレクション(PID 1302601)
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕、明治十三年(一八八〇)、国立国会図書館デジタルコレクション(PID 1302601)
楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕、明治十三年(一八八〇)、国立国会図書館デジタルコレクション(PID 1302601)

楊洲周延の三枚続は、明治十三年(一八八〇)十月に市村座で上演された『嵯峨奥妖猫奇談』を描く。。錦絵は当時の舞台受容を伝える資料であり、城内で怪猫事件が実際に起きた証拠ではない。

。一つの完成済み伝説がそのまま複製されたのではなく、媒体ごとに人物、動機、見せ場が増えていったのである。

土地ごとに異なる猫の記憶

。

。佐賀の鍋島物、阿南のお松、水上村の玉垂、隠岐の踊り語りは、猫という主題を共有しても、同じ猫の生涯ではない。それぞれの土地の記憶として読むことで違いが鮮明になる。

近代の怪猫映画

国立映画アーカイブは、を所蔵作品として紹介している。また、とする。

これらの作品情報から、怪猫が昭和の映画でも継続的に扱われたことが分かる。映画に現れる映像表現は、中世から不変の外見ではなく、化け猫表象の近代的な一層として位置づけられる。

共通の性格、
弱点、
退治法はない

化け猫の性格は物語ごとに大きく異なる。主人を守り仇を討つ猫も、家族を害する猫も、人のように踊るだけの猫もいる。正体を見破られる、武士に斬られる、祈祷を受けるといった結末も、各作品の筋書きであって、すべての化け猫に効く攻略法ではない。

二本の尾、一定の年齢、油、魚、犬、火、経文のどれか一つで化け猫を判定したり退けたりすることはできない。各資料に繰り返し現れるのは統一された能力一覧ではなく、身近な猫が人の知らない振る舞いを見せる場面である。

身近な猫から生まれる怪異

化け猫の話で繰り返し目に入るのは、遠い異界ではなく、人家、灯、手拭い、食事、寝所といった日常の道具や場所である。夜中に歩く、物陰を見つめる、音を立てずに部屋を移るという猫の身近な動きが、人のように立つ、話す、踊る、家族の姿を借りるという怪談の場面へ接続される。

その猫が言葉を話したら何を語るのか。人の姿を借りたら誰に見えるのか。恩を受けた者が傷つけられたらどう動くのか。こうした問いが、各時代の作者や語り手に異なる化け猫を描かせてきた。身近な動物が突然よく知らない存在に見える、その境目こそが化け猫の物語を読み解く鍵である。

Character Profile

This section is our own creative profile for storytelling. It is not historical fact or scholarship.

Rarity
Common
Personality
vindictive and cautious, tricks humans when given an opening
Compatibility
brings misfortune to those who wronged it, avoids those who treat it with care
Abilities
shapeshifting into human formunderstanding human speechcursing and possessioninterference with the dead and corpsescat dance as a play infused with sorcerynight vision and disruptive leaping
Weaknesses
esoteric rituals and sutra recitation, driven off by blades and fire, pacified through memorial rites and apology
Habitat
around human dwellings, alleys and backyards, temple and shrine precincts, mountain hamlets

Sources & References

18
  1. Kôji Watanabe, « Le chat-monstre dans Meigetsu-ki de Fujiwara no Teika : première occurrence du terme nekomata dans la littérature japonaise ? » — Kôji Watanabe(Iris, no 41, UGA Éditions, 2021) [研究論文・古典本文翻訳] Secondary『明月記』天福元年八月二日条の猫胯と『徒然草』第八十九段の猫またを本文、仏訳、注釈とともに検討する。中世の前史を確認するために用いる。
  2. 荻田安静『宿直草』 — 荻田安静(富山大学附属図書館ヘルン文庫, 延宝5年(一六七七)刊) [古典籍画像・一次資料]猫が母の姿をとる話と、年月を経た猫の異変を収める。近世の家内怪異を確認する一次資料。
  3. 怪異を射る : 『宿直草』巻四の一「ねこまたといふ事」の位置 — 山本綏子(広島大学学術情報リポジトリ, 2025) [研究論文] Secondary『宿直草』巻四冒頭の「ねこまたといふ事」を作品構成の中で論じる研究。
  4. 寺島良安編『和漢三才図会』中之巻 — 寺島良安(中近堂/国立国会図書館所蔵, 明治18年(一八八五)刊本/原著は正徳2年(一七一二)成立) [古典籍画像・一次資料]「十有餘年老牡猫有妖為災」と、油を舐める猫を怪異の表れとする記述を直接確認する。原著成立年と閲覧刊本の刊年を分ける。
  5. 『画図百鬼夜行』の構成に関する一考察 — 倉本昭(山口県立大学学術情報リポジトリ, 2015) [研究論文] Secondary宝永五年序『大和怪異記』の、赤い手巾をかぶり後足と尾で立つ猫の条を引用する。一次資料の所在と引用範囲を明示して用いる。
  6. 神谷養勇軒編『新著聞集』18巻 — 神谷養勇軒(国立国会図書館サーチ, 寛延2年(一七四九)原刊記) [古典籍書誌]猫が集まって踊る話を収める作品の書誌。該当場面の説明は小林光一郎の研究と併用する。
  7. 「踊り歌う猫の話」における「踊る猫」のイメージ―錦絵に描かれた踊る猫― — 小林光一郎(神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター, 2011) [研究論文] Secondary『新著聞集』などの踊る猫の話と、錦絵における図像の展開を検討する。
  8. 「おっちゃん、それは化け猫に化かされとっだわ」 : 隠岐島の猫にまつわる語りから見る人間と動物の連続性 — 近藤祉秋(文化人類学 76巻4号, 2012) [民族誌研究] Secondary隠岐諸島の猫にまつわる語りを、人語、踊り、歌、婚姻、相撲など人間と動物の連続性から検討する。
  9. 鳥山石燕『画図百鬼夜行』 — 鳥山石燕(長野屋勘吉/国立国会図書館所蔵, 文化2年(一八〇五)刊本/初版安永5年(一七七六)) [古典籍画像・一次資料]手拭いをかぶり、二本の尾を見せて後足で立つ「猫また」の図。作品名、初刊年、掲載刊本の刊年を分ける。
  10. 四代目鶴屋南北『独道中五十三驛』 — 四代目鶴屋南北(立命館大学アート・リサーチセンター ArtWiki, 文政10年(一八二七)初演) [演劇資料]演目の初演情報と場割を確認し、通称「岡崎の猫」と実地の民間伝承を区別する。
  11. Scene from a Ghost Story: The Okazaki Cat Demon — Utagawa Kuniyoshi(The Metropolitan Museum of Art, ca. 1850) [美術作品・一次資料]巨大な猫の顔、女性、亡霊、炎を配した怪猫芝居絵の二枚続。The Met所蔵作品の書誌とPublic Domain表示を確認する。
  12. 国立国会図書館関西館第29回小展示「ニャンとも楽しい古典籍」資料解説 — 国立国会図書館関西館(国立国会図書館, 2022) [公的展示解説] Secondary石燕の猫また、嘉永六年に計画された『花野嵯峨猫魔稿』の上演中止など、猫をめぐる古典籍の受容を解説する。
  13. 楊洲周延〔鍋島の猫〕〔嵯峨奥妖猫奇談〕 — 楊洲周延(松下平兵衛/国立国会図書館所蔵, 明治13年(一八八〇)) [錦絵画像・一次資料]明治十三年十月、市村座『嵯峨奥妖猫奇談』の怪猫と登場人物を描く三枚続。舞台受容の一次資料として用いる。
  14. 鍋島猫騒動の変遷 : 実録・講談と『花嵯峨猫魔稿』 — 早川由美(名古屋大学国語国文学, 2000) [研究論文] Secondary歌舞伎と実録・講談系統の関係、道中記・武勇譚・軍書的要素を加えた長編化を論じる。
  15. お松大権現の縁起 — お松権現社(お松権現社, 現行公式解説) [寺社公式縁起]不当な裁きを受けたお松と愛猫の復讐、現在の猫神信仰を伝える神社公式縁起。歴史事件の証明ではなく地域伝説の所在として用いる。
  16. 生善院観音堂及び本堂と庫裏 — 文化庁(日本遺産ポータルサイト, 現行) [公的文化財解説]玖月善女と愛猫玉垂の伝説、生善院が「猫寺」と呼ばれる由来、日本遺産構成文化財としての位置づけを確認する。
  17. 『亡霊怪猫屋敷』(一九五八)作品資料 — 国立映画アーカイブ(国立映画アーカイブ, 1958) [公的作品資料] Secondary中川信夫監督『亡霊怪猫屋敷』の作品情報を確認する。
  18. 鈴木澄子の怪猫映画 — 国立映画アーカイブ(国立映画アーカイブ, 2005) [公的上映解説] Secondary『佐賀怪猫伝』から『山吹猫』まで鈴木澄子主演の怪猫映画六作を紹介する上映解説。

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