🔤 かな別妖怪図鑑

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74 妖怪|9 カテゴリ|1/4 ページ

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一般
うわん

うわん

うわん

絵巻出現型(屋敷の怪)

住居・器物
不詳

うわんは、江戸期の妖怪画に見られる正体未詳の妖怪。佐脇嵩之『百怪図巻』や鳥山石燕『画図百鬼夜行』に、鉄漿を付けた人物風の姿で両手を挙げ、声で脅かすように描かれる。解説文は付されず来歴は不明だが、屋敷の塀や廃屋の背景から「屋敷に出る怪」と解されることがある。三本指の描写は鬼性を示唆する説もあるが定説ではない。

一般
アイヌカイセイ

アイヌカイセイ

あいぬかいせい

伝承記述版

霊・亡霊
蝦夷地(北海道)

アイヌ伝承に見られる怪異で、名の「カイセイ」はアイヌ語で死骸を指すとされる。ぼろぼろのアットシ(樹皮繊維の衣)をまとい、空家や古い家に現れるという。人が眠っていると胸や首にのしかかり、息苦しさを与える。性質は人家に出る座敷の霊的存在に近く、亡者の気配を伴うものとして語られるが、正体や由来は詳らかでない。

一般
アマビエ

アマビエ

あまびえ

瓦版伝承準拠

人妖・半人半妖
肥後国(現・熊本県)

弘化三年四月中旬、肥後国の海上に現れたと伝わる予言の妖怪。夜ごと海中より光を放ち、役人の前に姿を見せ、自らをアマビエと名乗った。諸国の豊作が六年続く一方で疫病が流行する旨を告げ、その災厄に際しては自身の姿を写した絵を人々に見せよと言い残し、海へ戻ったという。瓦版一種の記録のみが知られ、詳細は不詳。

一般
アヤカシ

アヤカシ

あやかし

海上怪異・総称型

総称・汎称
西日本沿岸部を中心に各地

アヤカシは海上に現れる怪異・妖怪の総称。地方により指す実体は異なり、怪火、船幽霊、海上の幻影などを含む。長崎では海上の怪火、山口・佐賀では船を害する船幽霊を指す例がある。対馬では巨大な怪火が浜に現れ、沖では山の姿に化けて船路をさえぎるという。実在魚コバンザメへの俗信が結びつく地域もあり、海難や遭難の説明として語られた。

一般
一反木綿

一反木綿

いったんもめん

一反木綿(伝承像)

住居・器物
薩摩国・大隅国(現・鹿児島県)

鹿児島県に伝わる怪異で、長さ一反ほど、幅は三寸前後の木綿の布が夕暮れから夜分にかけて空をひらひら舞い、人の顔や首に巻きつき息を詰まらせるとされる。姿は布切れ同然で、声も出さず音も立てないという。『大隅肝属郡方言集』(野村伝四・柳田國男)に名がみえ、土地では子どもへの戒めとして語られた。正体は不要となった布が怪異化したものとも、風の妖と見る説もある。

一般
一本だたら

一本だたら

いっぽんだたら

紀伊・熊野伝承準拠

山野の怪
紀伊国(熊野)を中心とする山間部

一本だたらは、一つ目で一本足の姿をとるとされる山の怪で、紀伊の熊野や奈良の伯母ヶ峰などで語られる。雪上に大きな単跡を残すことで知られ、姿を見た者は少ないともいう。出現日は十二月二十日の「果ての二十日」に限るとする説が著名で、この日は山入りを忌む。鍛冶やたたらとの関連、隻眼の鍛冶神の零落とする解釈も伝えられる。

一般
丑の刻参り

丑の刻参り

うしのこくまいり

伝統儀礼像

霊・亡霊
京都府(貴船信仰)ほか各地の神社周辺

丑の刻(真夜中)に神社の御神木へ憎む相手を象った人形を打ちつけ、祟りを願う呪詛儀礼。江戸期に白装束・鉄輪にろうそく・一本歯下駄・鏡・五寸釘などの作法が整い、七日間通えば満願とされた。行為を見られると効力が失せる、黒牛に遭えば跨げば成就するなどの付会が伝わる。源流には古代の人形代呪術や陰陽道の形代祈祷が指摘される。

一般
以津真天

以津真天

いつまで

以津真天(古典像)

動物変化
滋賀県・比良山周辺

以津真天は人間の声で「いつまで…」と不気味に鳴き、聞いた者に死を予兆する怪鳥。古くから「この声を聞けば三日以内に命を落とす」と伝えられ、恐れられてきた。

一般
否哉

否哉

いやや

石燕図像準拠

住居・器物
不詳

江戸期の画家・鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた妖怪。後ろ姿は美女だが、水面には皺深い老人の顔が映る姿で示される。作中の付記で、中国の故事に見える虫「怪哉」に名をなぞらえて「否哉」と号したとされ、具体的性状は記されない。後世資料では「いやみ」「異爺味」などの名で取り上げられるが、伝承の実在性は不詳とされる。

一般
垢嘗

垢嘗

あかなめ

伝統図像・風呂場怪童型

住居・器物
日本各地(江戸を中心とする伝承)

古い風呂屋や荒れた屋敷の風呂場に現れるとされる妖怪。長い舌を垂らした童子の姿に描かれることが多く、夜更けに忍び入り、桶や壁にこびり付いた垢や水垢、黴を舐め取る。人に直接危害を加える話は少ないが、出現そのものが不浄の兆しと受け取られ、風呂場を清潔に保つ戒めと結び付けられてきた。別名に垢舐・垢ねぶりがある。

一般
大入道

大入道

おおにゅうどう

伝統譚整理版・大入道

鬼・巨怪
各地(東北・関東・四国ほか)

大入道は各地に伝わる巨大な入道姿、あるいは影法師のような巨体の怪異。名称は大きな僧を指すが、実際は僧形に限らず巨人状や不定形の影として現れる例もある。見上げるほどの大きさで迫り、睨まれた者が卒倒・病を得ると恐れられる。正体は不詳とされることが多いが、狐・狸・鼬・獺などの動物や石塔が化けたとする説も各地に見える。

一般
大煙管

大煙管

おおぎせる

大煙管(阿波・青石瀬口承)

動物変化
阿波国(三好郡三庄村毛田)

徳島県三好郡三庄村毛田に伝わる化け狸の怪。吉野川の青石瀬で夜更けに舟を停めると現れ、巨大な煙管を差し出して煙草を所望する。煙管一杯に詰め切れば害はないが、量は常識外れに多く、用意が足りぬと舟を転覆させたり怪異を起こすという。水辺で人を脅かす狸の一類型で、旅人・船頭への戒めとして語られた。

一般
大百足

大百足

おおむかで

大百足(三上山伝承)

鬼・巨怪
近江国(琵琶湖・三上山)ほか各地

大百足は巨大な百足の妖怪で、甲は硬く刃や矢をはね返すという。体は山を幾重にも巻くほど長大で、脚は火のように赤く輝き、毒牙は甲冑をも噛み砕くと畏れられた。水神たる大蛇・龍と対立し、湖沼や山野に現れては争ったと伝えられる。百足は勇猛不退の象徴とされ、武家や商人から吉兆としても意識されたが、その実体は各地で異同が多く詳細は不詳である。

一般
大禿

大禿

おおかぶろ

石燕図像準拠

総称・汎称
江戸

大禿は、鳥山石燕『今昔画図続百鬼』に描かれた妖怪画上の存在。屏風より高い背丈、菊文の振袖、つるりとした頭を特徴とする。図に添えられた文は能「菊慈童」や「頭童歯豁」の語を踏まえ、長命の童や老衰の相貌を対置する寓意的表現で、遊里の禿(かむろ)や山寺の老僧を諷刺した作と解される。固有の怪異譚は乏しく、画題・比喩として流布した。

一般
天探女

天探女

あめのさぐめ

伝承準拠・天探女

人妖・半人半妖
記紀伝承上は高天原および摂津・難波高津に関わる

『古事記』では天佐具売、『日本書紀』では天探女と表記される女神。天若日子(天稚彦)に付き従う存在として登場し、雉の鳴女を不吉と告げた逸話で知られる。巫的な吉凶判断に関わる性格を持つと解され、天邪鬼の原像とする民俗学的見解がある。天津神か国神かは史料により扱いが分かれ、神格の位置づけが特異とされる。

一般
天逆毎

天逆毎

あまのざこ

図会準拠・怪神像

神霊・神格
不詳(記述は主に江戸時代の書誌に見える)

天逆毎は、江戸期の博物誌『和漢三才図会』に引かれる「ある書」に見える怪神。素戔嗚が体内の猛気を吐き出したものが形を得て生じたと説かれる。人に似て獣相、高い鼻・長い耳と牙をもつ。気性は激しく、意に反すれば荒れ狂い、強き神すら遠くへ投げる力を備える。物事を逆に言い做す性向が強く、天邪鬼との連関が語られる。

一般
天邪鬼

天邪鬼

あまのじゃく

民話併記

鬼・巨怪
各地(古伝承は大和・出雲系の神話に関わるとされる)

天邪鬼は、人の心を測って逆らい、言行を反転させてからかう小鬼として知られる。仏教図像では四天王や執金剛神に踏み伏せられる悪鬼として描かれ、心の煩悩の象徴と解される。神話説話では天探女や天稚彦に関わる名が引かれ、古い神格や巫の性格が民間で小鬼像へと縮小・転化したとみられる。地方により声まね、山中の反響、巨体譚など多様に語られる。

一般
姥ヶ火

姥ヶ火

うばがび

姥ヶ火(伝統譚準拠)

自然現象・自然霊
河内国・丹波国

姥ヶ火は、雨夜などに現れる怪火で、主に河内国の枚岡や丹波国の保津川流域に伝承が残る。大きさ一尺ほどの火の玉として飛び、時に老女の顔や鳥の姿を見せると語られる。枚岡神社の油を盗んだ老女の祟り、あるいは子を流した老女への天罰が怪火となったとされ、古書や絵巻にも記録が見える。人に触れると不吉をもたらすという。

一般
安倍晴明

安倍晴明

あべのせいめい

伝承版・陰陽師晴明

霊・亡霊
山城国(京都)と伝わるが詳細不詳

平安中期の陰陽師として史料に名が見える人物。賀茂氏の門下で天文・暦・卜占を修め、宮廷で祓や反閇を奉仕したと記される。花山・一条両天皇や藤原道長の信任を得た記事が日記史料に残る。やがて天文博士を兼ね、安倍氏(土御門家)による陰陽道の家伝確立に繋がった。後世、術者としての逸話が増幅し、妖異退治や式神使いの典型像として語られる。

一般
小豆洗い

小豆洗い

あずきあらい

谷川の小豆洗い

霊・亡霊
各地(主に関東・中部・近畿の山間や谷筋)

川辺や沢で夜更けに小豆を洗う音を立て、「ショキショキ」「ザクザク」と響かせる妖怪。人家近くの水音に紛れて現れ、姿は小柄で老成、時に子どもの姿ともいう。脅かすよりは気配で人をたぶらかし、足を滑らせさせる怪異として語られる。江戸期の奇談や絵巻にも見え、数を正確に数える性質を伴う例が知られる。

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