🔤 かな別妖怪図鑑

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74 妖怪|7 カテゴリ|4/4 ページ

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一般
長冠

長冠

おさこうぶり

図像伝承準拠

住居・器物
不詳

鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれる冠の妖怪。束帯をまとい笏を手にし、頭部が巻纓冠となる姿で示される。石燕は、「東都の城門に冠を掛け去った賢人」の故事を引きつつ、保身に固執して冠を手放さぬ邪な人物の影が宿るものとして示唆する。冠という権威の象徴が、道義を失った心に付くと妖となるという教訓的意匠が核にある。

一般
長壁姫

長壁姫

おさかべひめ

長壁姫(伝統譚準拠)

人妖・半人半妖
播磨国(現・兵庫県姫路市)

姫路城の天守に宿ると伝えられる女性の妖怪・城郭神。江戸初期の怪談集では性別不定で多様な姿を示す城の化け物とされ、のちに「姫」の像が定着した。城の守護神と祟り神の両性を帯び、城主の行いに応じて吉凶をもたらすと畏れられた。正体は古狐、城の神、人柱の女、古い姫君の霊など諸説があり一定しない。小刑部姫・刑部姫とも呼ばれる。

一般
陰摩羅鬼

陰摩羅鬼

おんもらき

陰摩羅鬼(図像・伝統準拠)

動物変化
日本(伝本は中国由来)

陰摩羅鬼は、中国の古書に見える怪鳥で、新しい死体から立つ気が変じたものとされる。姿は鶴のごとく黒く、眼は灯火のように輝き、羽を震わせて甲高く鳴くという。日本でも江戸期の絵巻や説話に採録され、経文読誦を怠る僧のもとに現れたと語られる。充分な供養がなされぬ屍の気に関わる怪異として理解され、寺院での死者供養と戒律の怠りを戒める象徴となった。

一般
隠神刑部

隠神刑部

いぬがみぎょうぶ

講談伝承準拠

動物変化
伊予国(現・愛媛県)松山

伊予国松山に伝わる化け狸の総領。久万山の岩屋に棲み、松山城を守護したとされ、眷属は八百八匹に及ぶという。名の「刑部」は城主の先祖から下賜された称とされ、城下の人々や家臣に崇まれた。江戸後期の講談化で広く知られ、『松山騒動八百八狸物語』において神通力をもって怪異を起こす狸の頭領として描かれる。

一般
雨女

雨女

あめおんな

伝承整理版(雨を呼ぶ女霊)

天候・災異
各地(とくに信州・関東の伝承あり)

雨を呼ぶ、あるいは雨と結びつけられる女性的な妖怪・霊的存在。鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に「雨女」の画題が見えるが、そこでは楚の宋玉「高唐賦」由来の朝雲暮雨を踏まえた風刺色が強く、妖怪としての具体像は明示されない。民間では雨の日に現れて子を攫うと恐れられる説や、旱魃に雨をもたらす霊として畏敬される見方が併存する。

一般
雨降小僧

雨降小僧

あめふりこぞう

雨仕童

住居・器物
江戸

江戸時代の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に見られる小僧姿の妖怪。中骨を抜いた和傘を頭に被り、提灯を手にする図で知られる。解説では雨の神「雨師」に仕える侍童に擬せられ、語呂を踏まえた言葉遊びも指摘される。黄表紙にも登場し、小間使いめいた役割で描かれることが多い。実在の土地伝承は乏しく、文献由来の性格が強い。

一般
雲外鏡

雲外鏡

うんがいきょう

伝統解釈(石燕本準拠)

住居・器物
江戸

江戸後期の鳥山石燕『百器徒然袋』(天明四年)に描かれた鏡の妖怪。丸鏡に妖しき顔が浮かび、古木の台に据わる姿で示される。石燕は照魔鏡の説話を引き、怪しきものの形を映す鏡に妖魔の影が移り住んで動き出したのではと記す。鏡そのものが年を経て霊性を帯びた付喪神として理解され、正体見破りの鏡観念と習合して語られる。

一般
青坊主

青坊主

あおぼうず

伝統図像・諸国譚の青坊主

総称・汎称
各地(和歌山・福島・岐阜・広島・静岡・長野・岡山・山口・香川など)

青坊主は各地で名が記録される妖怪の総称で、姿や性質は一定しない。大きな坊主姿、青い体色の法師、あるいは一つ目の法師として語られることが多い。鳥山石燕『画図百鬼夜行』に図像があるが解説はなく、詳細は不明。動物の化身とされる例、山の神と結びつく例、子どもの戒めに用いられる例など、多様な伝承像を含む。

一般
青行燈

青行燈

あおあんどん

図像化・鬼女像

住居・器物
江戸

青行燈は、江戸期の怪談会「百物語」に関連して語られる怪異の総称、またはそれを象徴する妖怪像。百話目に至る時、あるいは語り終えた直後に現れるとされ、青い紙を貼った行燈の薄明かりが名の由来とされる。鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』では角を持つ鬼女として図像化されるが、個別の実見談は乏しく、雰囲気と儀礼が呼ぶ怪異の象徴とみなされる。

一般
青鷺火

青鷺火

あおさぎび

伝統譚準拠

動物変化
各地(主に江戸・大和・佐渡などの伝承)

夜間、サギの体が青白く光って見える怪異。別名は五位の火・五位の光。江戸期の画集や随筆に記録があり、月夜や雨夜にも目撃される。正体はゴイサギとされることが多く、飛翔時に青い火のように見え、人々を驚かせた。発光は水辺の付着物や羽毛の反射などと説明されることもあるが、地域では怪火として語り継がれる。

一般
馬憑き

馬憑き

うまつき

伝統譚ベース

霊・亡霊
日本各地(三河・遠江・阿波・武蔵など)

馬憑きは、死んだ馬の霊が人に取り憑き、嘶きや水桶の雑水をあさるなど馬めいた挙動をさせ、ついには発狂や死に至らしめるとされた怪異。馬を虐待したり、粗末に扱った報いとして起こると信じられ、僧侶や武家、庶民を問わず記録がある。祈祷や追善供養で鎮まる例も伝わるが、しばしば効なく、宿主は短時日に没する。

一般
馬鹿

馬鹿

うましか

絵巻準拠(伝統)

動物変化
不詳(主に江戸時代の絵巻に見出される)

江戸期の妖怪絵巻に描かれる精怪。衣をまとい、前脚を左右に広げ、眼球が上に突き出た馬の顔に鹿の割れ蹄を備える姿で表される。『百物語化絵絵巻』(18世紀後半)や尾田郷澄『百鬼夜行絵巻』、『化物尽絵巻』などに同姿の図が確認されるが、行状や由来の説明は付されない。語の「馬鹿」からの連想図像とみられるが、機能や害益は資料上不明である。

一般
鬼

おに

鬼(伝承像)

鬼・巨怪
全国

角を持つ力強い妖怪。恐ろしい姿をしているが、実は心優しい者も多い。

一般
鬼熊

鬼熊

おにくま

伝承準拠・鬼熊

動物変化
信濃国木曽谷(長野県)

鬼熊は、木曽谷に伝わる老いた熊が妖怪化した存在。人前に姿を現すことは稀だが、夜更けに山から里へ降り、直立して歩き牛馬をさらって山中で食らうとされる。力は常人離れして強大で、大石を谷へ落とすなどの怪力譚が語られる。江戸期の奇談集『絵本百物語』に記述があり、近世以降の妖怪図会でも言及される。地域により猛熊の異称としても用いられた。

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