🔤 かな別妖怪図鑑
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海坊主
うみぼうず
九州・四国の海坊主
海の闇から突如現れる巨大な影の妖怪。漁師や旅人に畏れられ、船を転覆させたり不思議な問いを投げかけると伝えられる。
海坊主
うみぼうず
中国地方の海坊主
海の闇から突如現れる巨大な影の妖怪。漁師や旅人に畏れられ、船を転覆させたり不思議な問いを投げかけると伝えられる。
煙々羅
えんえんら
薄羅の煙精
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれる煙の妖怪。名中の「羅」は薄布を指し、薄紗のごとくたなびく煙の精を表す。古来、囲炉裏や竈から立つ煙に気配を見た観念と結びつき、形を定めず漂う姿で示される。史料上は石燕の画による定着が主で、具体の害や徳は明示されず、煙そのものの化生として理解される。
燈無蕎麦
あかりなしそば
本所七不思議型
江戸時代の本所南割下水付近に夜な夜な現れたとされる二八蕎麦の屋台にまつわる怪異。店主は決して姿を見せず、店先の行灯は常に消えているのに、誰かが火を点けると帰宅後に不幸が起こると畏れられた。逆に油が尽きず燃え続ける「消えずの行灯」とする伝えもある。狸の仕業とも噂され、本所七不思議の一つとして口碑に残る。
牛鬼
うしおに
牛鬼(伝承像)
海や川辺に現れる恐ろしい妖怪。牛のような頭と蜘蛛や鬼に似た体を持ち、人を襲い喰らうと言われる。土地によって姿の伝承は異なるが、多くの場合「海辺で出会ってはならぬ存在」とされる。
甘酒婆
あまざけばば
伝承準拠
夜更けに「甘酒はござらんか」と戸口をたたき歩く老女の姿で現れる妖怪。返答の有無や内容にかかわらず病をもたらすと恐れられ、戸口にスギの葉やナンテンの枝、トウガラシを吊すと避けられるとされた。江戸から東北各地に伝承があり、流行病の流布と結びつけて語られ、疱瘡神と同一視される説もある。冬の寒夜に巡る売り声と結び付く例が知られる。
生霊
いきりょう
生霊(伝統版)
生霊は、生きている人の魂が身体を離れてさまよう在り様を指す。強い怨みや恋慕、臨終間際の想いなどが契機となり、対象へ憑依して病や災いをもたらすと信じられた。平安期の貴族社会から近世の庶民信仰まで幅広く記録があり、自我の影身・影法師として現れる場合もある。意図せず離れる形のほか、呪詛により意識的に遣わす例も語られる。
異獣
いじゅう
異獣(北越雪譜伝)
江戸後期、越後国魚沼郡の山間に出没したと記録される怪しき獣。『北越雪譜』第2編巻4に「猿に似て猿に非ず」と記され、頭髪は長く背に垂れ、背丈は人より大きい。人を害すよりは食を乞い、時に荷を運ぶなど人の働きを助けたと伝わる。正体は明かでなく、山の精か稀なる獣の類と見なされ、織物産地の口碑にしばしば語られる。
白粉婆
おしろいばばあ
雪夜の白粉婆
顔に白粉を厚く塗り、破れ笠をかぶった老女の妖怪。雪道にも徳利を提げ杖を頼みに現れ、道行く者に酒を所望するという。人家の戸口に立ち、甘酒や清酒の匂いに惹かれて寄るとも言われる。応じれば祟らず、断れば夜更けまで戸を叩くなどの怪をなすとされ、寒村での冬季の戒めや来客応対の民俗観を映す存在として語られる。
磯女
いそおんな
磯女・伝承標準像
磯女は九州各地の沿岸に出没する女の妖怪。砂浜や磯辺、停泊中の舟に近づき、長い髪で人にまとわりついて血を吸うと伝えられる。上半身は美女に近いが、下半身は朧ろであったり蛇状とされたり、背後からは岩に見えるともいう。名は土地により磯女子・濡女子・海女・海姫など多様。凪の折に姿を見せ、水死者の怨霊と結び付けられる地域もある。
網切
あみきり
図像準拠・伝統解釈
江戸の絵師・鳥山石燕『画図百鬼夜行』に図像のみ登場する妖怪。蟹やさそりのような鋏を備えた姿で描かれるが、書内に解説はなく性質は不明とされる。先行絵巻に見える髪を切る妖怪「髪切り」との連想や、網と小型甲殻類の語呂による戯れからの創作と解する説がある。後世には蚊帳や漁網を切る存在として紹介されることが多いが、史料上の裏付けは限定的である。
茨木童子
いばらきどうじ
茨木童子(伝統譚準拠)
平安期、酒呑童子の股肱とされる鬼。出生は摂津国(富松・茨木)説と越後国(古志郡軽井沢)説があり、幼少より異相・剛力を示したと伝わる。大江山の賊徒に加わり都を悩ませたが、源頼光一行の討伐で一味は壊滅、茨木童子は辛くも遁走したという。のち渡辺綱に腕を斬られ、化生してこれを奪い返した話が中世以降の説話・能狂言・歌舞伎に広く見える。
襟立衣
えりたてごろも
石燕図像準拠
襟立衣は、僧が着用する襟の高い衣が年を経て妖となったものとされ、鳥山石燕『百器徒然袋』に図像が見られる。前に柄香炉を置き数珠を手に、立てるはずの襟が面部に垂れくちばし状となる姿で描かれる。石燕は「鞍馬山の僧正坊の襟立衣なるべし」と記し、天狗ゆかりの僧衣が精を得たものとの示唆を残すが、具体の事跡や語りは多く伝わらない。
赤足
あかあし
赤足・伝承準拠
赤足は、人の足もとにまとわりついて歩行を妨げるとされる怪異。姿を現す場合は赤い足のみが突き出すともいわれ、しばしば山道の辻や人けの少ない道で遭遇する。地方によっては実体を見せず、綿のようなものが足に絡み疲労や転倒を誘うとも伝わる。赤手児と対をなす、または同類とみなす説もある。
足長手長
あしながてなが
和漢図会系・長脚長臂像
足の極端に長い「足長人」と、腕の極端に長い「手長人」を総称する異人譚。古代の地理志に見える長股・長臂の説を起原とし、『三才図会』および『和漢三才図会』に長脚・長臂として記載がある。海上では足長人が手長人を背負い、浅海で獲物を得るとされ、絵画題材としてもしばしば描かれた。日本では説話・戯画に取り入れられた。
逢魔時
おうまがとき
逢魔時(伝統叙述)
逢魔時は、日の暮れに差しかかる薄闇の頃を指す言葉で、黄昏時と重なる。人の顔が判然としない境目の時間で、魔や妖怪に遭いやすいと畏れられ、小児を外に出さぬ戒めが語られた。鳥山石燕は「百魅の生ずる時」と注し、柳田国男も化け物への警戒を含む古義に言及する。地方には同義・近義の呼称が諸説ある。
長冠
おさこうぶり
図像伝承準拠
鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれる冠の妖怪。束帯をまとい笏を手にし、頭部が巻纓冠となる姿で示される。石燕は、「東都の城門に冠を掛け去った賢人」の故事を引きつつ、保身に固執して冠を手放さぬ邪な人物の影が宿るものとして示唆する。冠という権威の象徴が、道義を失った心に付くと妖となるという教訓的意匠が核にある。
長壁姫
おさかべひめ
長壁姫(伝統譚準拠)
姫路城の天守に宿ると伝えられる女性の妖怪・城郭神。江戸初期の怪談集では性別不定で多様な姿を示す城の化け物とされ、のちに「姫」の像が定着した。城の守護神と祟り神の両性を帯び、城主の行いに応じて吉凶をもたらすと畏れられた。正体は古狐、城の神、人柱の女、古い姫君の霊など諸説があり一定しない。小刑部姫・刑部姫とも呼ばれる。
陰摩羅鬼
おんもらき
陰摩羅鬼(図像・伝統準拠)
陰摩羅鬼は、中国の古書に見える怪鳥で、新しい死体から立つ気が変じたものとされる。姿は鶴のごとく黒く、眼は灯火のように輝き、羽を震わせて甲高く鳴くという。日本でも江戸期の絵巻や説話に採録され、経文読誦を怠る僧のもとに現れたと語られる。充分な供養がなされぬ屍の気に関わる怪異として理解され、寺院での死者供養と戒律の怠りを戒める象徴となった。
隠神刑部
いぬがみぎょうぶ
講談伝承準拠
伊予国松山に伝わる化け狸の総領。久万山の岩屋に棲み、松山城を守護したとされ、眷属は八百八匹に及ぶという。名の「刑部」は城主の先祖から下賜された称とされ、城下の人々や家臣に崇まれた。江戸後期の講談化で広く知られ、『松山騒動八百八狸物語』において神通力をもって怪異を起こす狸の頭領として描かれる。
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