石燕本の図像・詞書に基づき、冠が自立して行儀正しく歩むかのように描かれるが、その由来は権威に固着した心への諷刺にある。冠は本来、礼と位を正す器であるが、利己のためにそれを外さぬ者には、器が主を呪い、形を得てさまようと解釈されることがある。実見譚や怪異譚は乏しく、主に絵や書の中で言外の戒めとして語られる存在で、沓頬と対に挙げられ、疑われる所作や身の置きどころをわきまえる教訓を担う。芳年など後代の絵師もこれを踏まえ、百器夜行の隊列に冠の精を添えた。近世好事家の間では、冠や笏など礼具が古びると精が宿るとする付喪神観の一例として扱われた。
性格特徴については、高慢に見えて虚ろまた、相性の良い人については、権勢に執する者と馴れ合い、廉直の士を疎む
主な能力・特技としては、礼装・冠に宿る気配を示す、位や格式への執着を嗅ぎ分け寄りつく、夜更けに衣冠の影を揺らし人心を戒めるなどが挙げられます。
一方で弱点もあり、正直と廉恥を守る者には近づきがたい, 礼を尽くして冠を外す作法とされています。
主な生息地は絵巻や版本の中, 古い冠や礼具を納めた蔵, 公家・武家の座敷とされています。
下図は図像伝承準拠の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。
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