長冠
一般
伝統妖怪

長冠

おさこうぶり

性格

高慢に見えて虚ろ

カテゴリ

付喪神

起源

不詳

基本説明

鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれる冠の妖怪。束帯をまとい笏を手にし、頭部が巻纓冠となる姿で示される。石燕は、「東都の城門に冠を掛け去った賢人」の故事を引きつつ、保身に固執して冠を手放さぬ邪な人物の影が宿るものとして示唆する。冠という権威の象徴が、道義を失った心に付くと妖となるという教訓的意匠が核にある。

民話・伝承

長冠は主に絵画資料上で知られ、特定の土地の昔話は伝わらない。石燕は同見開きに沓頬を配し、「瓜田に履を入れず、李下に冠を正さず」の戒めや、『徒然草』における冠・沓の段を踏まえ、身の処し方を諷する図として構成したと解される。後年、月岡芳年らが同趣意で図像化し、百鬼夜行の一類として受容が広がったとされる。

徹底解説

長冠 図像伝承準拠

石燕本の図像・詞書に基づき、冠が自立して行儀正しく歩むかのように描かれるが、その由来は権威に固着した心への諷刺にある。冠は本来、礼と位を正す器であるが、利己のためにそれを外さぬ者には、器が主を呪い、形を得てさまようと解釈されることがある。実見譚や怪異譚は乏しく、主に絵や書の中で言外の戒めとして語られる存在で、沓頬と対に挙げられ、疑われる所作や身の置きどころをわきまえる教訓を担う。芳年など後代の絵師もこれを踏まえ、百器夜行の隊列に冠の精を添えた。近世好事家の間では、冠や笏など礼具が古びると精が宿るとする付喪神観の一例として扱われた。

性格特徴については、高慢に見えて虚ろまた、相性の良い人については、権勢に執する者と馴れ合い、廉直の士を疎む

主な能力・特技としては、礼装・冠に宿る気配を示す、位や格式への執着を嗅ぎ分け寄りつく、夜更けに衣冠の影を揺らし人心を戒めるなどが挙げられます。

一方で弱点もあり、正直と廉恥を守る者には近づきがたい, 礼を尽くして冠を外す作法とされています。

主な生息地は絵巻や版本の中, 古い冠や礼具を納めた蔵, 公家・武家の座敷とされています。

下図は図像伝承準拠の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。

図像伝承準拠についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

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