深山の老婆・山姥
深山の老婆・山姥について詳しく説明すると、
白髪の老婆だが、山での生活で鍛えられた強靭な体を持つ。金太郎を育てた伝説で知られる、山の母のような存在。その皺に刻まれた人生経験は何物にも代えがたい宝物であり、迷える者に的確な助言を与える。厳しく見えても、その奥にある深い愛情を感じることができる。
妖怪設定
この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。
山姥(やまうば・やまんば)は、深山に棲むと伝えられる老女の姿をした怪。長い白髪を乱し、口が耳まで裂けた鬼婆として描かれる一方、山の幸を授け富をもたらす「山母」としても語られ、人を喰う恐ろしさと福徳を与える慈悲との二面を併せ持つ。鳥山石燕『画図百鬼夜行』[1]や佐脇嵩之『百怪図巻』[2]は、子を抱き、あるいは髪を振り乱した山中の老女としてその像を伝える。坂田金時(金太郎)の母とする近世の伝承でも知られ、単なる人喰いの鬼にとどまらない複雑な性格を帯びる。
謡曲『山姥』[3]は、都で山姥の曲舞を舞って名を得た遊女「百ま山姥」が善光寺詣での途上、山中で本物の山姥に出会う複式夢幻能で、山姥を山々を巡り人の務めを助ける存在として描き、後世の山姥像に大きな影響を与えた。『今昔物語集』には、源頼光が足柄山にさしかかった際、深山の庵に老女と若者が住み、その子が後の坂田金時であったとする説話があり、これが金太郎を山姥の子とする近世伝承の下地となった。
昔話の世界では、『牛方山姥』『食わず女房』のように旅人や夫を追い喰らう人喰いの型と、『糠福米福』『姥皮』のように貧しい者へ衣食や富を授ける福神の型とが併存する。柳田國男は『山の人生』[5]などで、こうした山姥を、平地民とは異なる山の住人や山の神に仕えた巫女が零落して怪と見なされた姿ではないかと論じた。山姥の二面性は、山という領域に対する畏怖と恵みへの感謝が一つの像に重なったものと解されている。
山姥 を様々な画風のカードで
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
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百怪図巻|佐脇嵩之が描いた30体の妖怪絵巻
佐脇嵩之『百怪図巻』(1737年)の収録妖怪30体、作品の特徴、鳥山石燕への図像的影響を所蔵館資料から紹介します。
山姥には2種類の異なる形態が確認されています。 それぞれ独特の特徴と性格を持ち、人々との関わり方も様々です。以下に各形態の詳細をご紹介します。
深山の老婆・山姥について詳しく説明すると、
白髪の老婆だが、山での生活で鍛えられた強靭な体を持つ。金太郎を育てた伝説で知られる、山の母のような存在。その皺に刻まれた人生経験は何物にも代えがたい宝物であり、迷える者に的確な助言を与える。厳しく見えても、その奥にある深い愛情を感じることができる。
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足柄山の金太郎母・山姥について詳しく説明すると、
足柄山の深層、人の踏み入れぬ笹尾根の窪地に、茅屋を結んで暮らす山姥の一系が「八重桐母形」と呼ばれる。八重に重なる桐の葉の露を産湯とし、山の気を食とするというこの系は、古くは赤き雲気の集う夜、夢のうちに現れた赤いりゅう(あかいりゅう)と通じて子を授かると伝えられる。彼女らは人の世の縁にまれに交わり、山の道理を乱さぬ者には道を開き、山の理を踏みにじる者には容赦なく牙を剥く。足柄の八重桐母形は、童(わらべ)を育てることを務めとし、とりわけ強盛の気を持つ子に目をかける。薪の割り方、獣の気配の読む術、沢の渡り、星のめぐり、草根木皮の利までを、言葉少なに教える。子が石にけつまずけば笑って見守り、血が出れば黙って苔の汁を塗る。甘やかしではなく、山の厳しさをそのまま手渡すやり方である。
『今昔物語集』に見える赤き雲気は、彼女の屋形を包む護りであり、外つ神の目を眩ませる結界とされる。頼光(よりみつ)が上総より上る折、その雲気を識り、渡辺綱を遣わしたと語られるのも、この母形の力を知る古人の直観ゆえであった。茅屋に住む老女と、二十に満たぬ童形の若者。老女は己が身を鬼女と称し、夢の赤りゅうとの縁を恥じず、ただ「山の掟に従うて生した子」とだけ述べたという。彼女の育てた童は、のちに坂田金時(さかたのきんとき)と名付けられ、世に名を立てるが、八重桐母形は子が世に出れば執着を離れ、山霧のごとく姿を薄める。名誉にも富にも関わらず、ただ山の均衡が乱れぬことのみを願う。
江戸の世に金平浄瑠璃が流行すると、この母形は「鬼女」として描かれもしたが、足柄の里の古い語りでは、鬼は畏(おそ)るべき「ちから」を指し、悪の一語では括れない。雷(いかづち)の子を孕む話や、金時山の頂で赤りゅうが八重桐に託した子の説は、この系の「天を受け、地に育む」という両義の在り方を示す。八重桐母形は、山の幸を分け与えるときは老母の顔、山を荒らす賊に対しては峯の鬼の相となる。夜半、赤い雲気が尾根にたなびく時、彼女は子の行く末を案じて星を繙(ひもと)き、必要とあらば山の獣や樹々に命じて道をひらく。彼女が残すのは宝ではなく、木の節目に刻まれた印と、子の掌に覚えさせた握り斧の重みである。八重桐母形は、今も霧の深い朝、足柄峠の奥で笹鳴(ささな)きに紛れ、育つべき者の息を聴いているという。
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下図は深山の老婆・山姥の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。
下図は足柄山の金太郎母・山姥の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。