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山姥 足柄山の金太郎母・山姥
伝説
守護的

山姥足柄山の金太郎母・山姥

やまんば

山野の怪🏞️ 足柄山の奥密な笹尾根, 金時山の山腹にある霧深い窪地, 箱根外輪山に続く獣道沿いの茅屋跡

詳細説明

足柄山の深層、人の踏み入れぬ笹尾根の窪地に、茅屋を結んで暮らす山姥の一系が「八重桐母形」と呼ばれる。八重に重なる桐の葉の露を産湯とし、山の気を食とするというこの系は、古くは赤き雲気の集う夜、夢のうちに現れた赤いりゅう(あかいりゅう)と通じて子を授かると伝えられる。彼女らは人の世の縁にまれに交わり、山の道理を乱さぬ者には道を開き、山の理を踏みにじる者には容赦なく牙を剥く。足柄の八重桐母形は、童(わらべ)を育てることを務めとし、とりわけ強盛の気を持つ子に目をかける。薪の割り方、獣の気配の読む術、沢の渡り、星のめぐり、草根木皮の利までを、言葉少なに教える。子が石にけつまずけば笑って見守り、血が出れば黙って苔の汁を塗る。甘やかしではなく、山の厳しさをそのまま手渡すやり方である。

『今昔物語集』に見える赤き雲気は、彼女の屋形を包む護りであり、外つ神の目を眩ませる結界とされる。頼光(よりみつ)が上総より上る折、その雲気を識り、渡辺綱を遣わしたと語られるのも、この母形の力を知る古人の直観ゆえであった。茅屋に住む老女と、二十に満たぬ童形の若者。老女は己が身を鬼女と称し、夢の赤りゅうとの縁を恥じず、ただ「山の掟に従うて生した子」とだけ述べたという。彼女の育てた童は、のちに坂田金時(さかたのきんとき)と名付けられ、世に名を立てるが、八重桐母形は子が世に出れば執着を離れ、山霧のごとく姿を薄める。名誉にも富にも関わらず、ただ山の均衡が乱れぬことのみを願う。

江戸の世に金平浄瑠璃が流行すると、この母形は「鬼女」として描かれもしたが、足柄の里の古い語りでは、鬼は畏(おそ)るべき「ちから」を指し、悪の一語では括れない。雷(いかづち)の子を孕む話や、金時山の頂で赤りゅうが八重桐に託した子の説は、この系の「天を受け、地に育む」という両義の在り方を示す。八重桐母形は、山の幸を分け与えるときは老母の顔、山を荒らす賊に対しては峯の鬼の相となる。夜半、赤い雲気が尾根にたなびく時、彼女は子の行く末を案じて星を繙(ひもと)き、必要とあらば山の獣や樹々に命じて道をひらく。彼女が残すのは宝ではなく、木の節目に刻まれた印と、子の掌に覚えさせた握り斧の重みである。八重桐母形は、今も霧の深い朝、足柄峠の奥で笹鳴(ささな)きに紛れ、育つべき者の息を聴いているという。

出典情報

種類全体の出典reference

今昔物語集 巻二十七 第二十二話「猟師母成鬼擬噉子語」

著者: (編者未詳)

年代: 平安後期 (12 世紀初)

出版社: (説話集)

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

山姥(謡曲)

著者: 世阿弥(伝)

年代: 室町期

出版社: (能・五番目物)

信頼度: high関連度:

種類全体の出典primary

山の人生

著者: 柳田國男

年代: 1925

出版社: 郷土研究社

信頼度: high関連度:

種類全体の出典primary

画図百鬼夜行

著者: 鳥山石燕

年代: 安永5年(1776年)

出版社: 国文学研究資料館国書データベース(東京藝術大学附属図書館所蔵)

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

百怪図巻

著者: 佐脇嵩之

年代: 元文2年(1737年)

出版社: 福岡市博物館(DNPアートコミュニケーションズ画像提供)

信頼度: A関連度:

性格

静かで辛抱強く、外敵には峻烈だが、子と認めた者には惜しみない慈愛を注ぐ。嘘や虚飾を嫌い、必要な時のみ言葉を発する。

相性

山で働く者、幼子を誠実に育てようとする者、自然に畏れを抱く旅人

能力・特技

赤い雲気の結界を張り、外敵や災いを遠ざける山の獣や木霊と意思を通わせ、道案内や護衛をさせる草根木皮の療治と産育の秘伝に長け、怪我や病を鎮める星と風の兆しを読み、子や旅人の行く末を占う鬼女の相となり怪力を振るい、山荒らしを退ける

弱点

人里の喧騒と穢れに長く留まると力が衰える, 約した掟を破ると自らの結界が薄れる, 火雷の乱れ(季節外れの落雷)に結界が乱調をきたす

マヤ暦守護KIN

山姥の足柄山の金太郎母・山姥が守護しているマヤ暦のKINを一覧で表示しています。

KIN 259
青い嵐
一般的守護
2026年の対応日:

診断評価

🔮

妖怪バウンダリー・タイプ指標

いたずら濃度
-3.0

high: 戯 low: 護

📝 メモ

子と認めた者を慈しみ、結界で災いを遠ざける

変化適応
2.0

high: 化 low: 定

📝 メモ

母性の老女から鬼女の相へ転じる

夜話度
1.0

high: 夜 low: 昼

📝 メモ

山奥の霊威はあるが夜出現の怪ではない

情の深さ
3.0

high: 縁 low: 境

📝 メモ

金太郎母として子への慈愛が中心

結界強度
3.0

high: 律 low: 流

📝 メモ

足柄山の奥で赤い雲気の結界を張る

表舞台圧
2.0

high: 表 low: 影

📝 メモ

鬼女の相と怪力で山荒らしを退ける守護的な圧がある

🔮

妖怪相性診断

喜び
3.5

喜びと楽しさの程度

📝 メモ

喜びを前面に出す描写は少なく、静かに見守る姿勢が主。稀に子の成長を笑って見守る程度。

怒り
7.5

怒りの激しさの程度

📝 メモ

外敵や山荒らしには鬼女の相で峻烈に対処し、激しい怒りを示す。

慈悲深い
7.5

慈悲深さの程度

📝 メモ

療治や産育に長け子や旅人を助ける一方、山荒らしには容赦しないため高めだが満点ではない。

憂鬱
6.0

憂鬱で思慮深い程度

📝 メモ

星を繙き子の行く末を案じ、世俗への執着を離れる姿に静かな憂いが漂う。

静寂
8.0

内なる平静の程度

📝 メモ

静かで辛抱強く、必要時のみ言葉を発する性格と山中での平穏な在り方。

いたずら好き
2.0

いたずら好きで活発な程度

📝 メモ

いたずらや戯れの要素はほぼなく、教育も実直で厳格。

やさしい
6.5

やさしく親しみやすい程度

📝 メモ

子に対しては温情深く手当てもするが、甘やかさず厳しさを伝えるため親しみやすさは中庸。

厳格
8.5

厳格で真面目な程度

📝 メモ

掟を重んじ、甘やかさず山の道理をそのまま教える教育方針。掟破りで力が衰える設定も厳格さを裏付ける。

守護的
9.5

他者を守る傾向

📝 メモ

守護的タイプで結界・獣や木霊の護衛・子の育成など明確に保護行動が中心。

神秘的
9.0

神秘的で不思議な程度

📝 メモ

赤い雲気の結界、赤いりゅうとの交わり、星読みによる占など神秘要素が濃い。

霊性の深さ
9.0

精神的境界の深さ

📝 メモ

山の理・外つ神への結界・星読・獣木霊との交信など霊性の層が深い。

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