本バージョンは、絵巻資料に現れる図像と最小限の注記のみを拠り所とする。撫で座頭は名と姿が伝わるが本文資料が欠落しており、性質・行状は確定できない。図像は剃髪し目の描写を欠く座頭風の人物で、長い指や爪状の手つきが強調される例がある。関連として、江戸の『百妖図』に「無眼」と題した同型があり、名義の異同が指摘される。多田克己は「撫」を穢れを写す「撫物」に通じる語義連関、さらに「猫」の別称との関わりを挙げ、温順を装い本性を隠す像を示唆するが、これは学術的解釈であって固有伝承の断言ではない。従って、能力・弱点・出没習俗は記録に乏しく、不詳として整理するのが妥当である。
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