神格
妖怪

木花咲耶姫

このはなのさくやびめ

カテゴリ
神霊・神格
性格
華麗にして強い意志を持つ気質。 自らの清純を炎で証明し、 三柱の御子を無事に生んだ母性の極致。
起源
富士山本宮浅間大社 (現·静岡県富士宮市宮町、 全国浅間神社総本宮、 大同元年 806 年坂上田村麻呂創建) / 北口本宮冨士浅間神社 (現·山梨県富士吉田市) / 富士山頂奥宮 (現·静岡県富士宮市富士山頂) / 桜井大神宮 (現·三重県等の浅間神社系)
  • 富士山本宮浅間大社(静岡県 富士宮市宮町)全国 1300 社の浅間神社総本宮、 806 年坂上田村麻呂造営、 富士山世界遺産構成資産
  • 富士山頂奥宮 (浅間大社)(静岡県 富士宮市富士山頂)富士山頂上の奥宮、 八合目以上は浅間大社境内地
  • 北口本宮冨士浅間神社(山梨県 富士吉田市上吉田)富士山北口·吉田口登山道の起点、 江戸富士講の中心
  • 笠沙岬 (邇邇藝命との出会いの地)(鹿児島県 南さつま市笠沙町)『古事記』 笠沙岬で邇邇藝命と出会った神話地
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基本説明

『古事記』『日本書紀』に登場する大山祇神の娘で、 邇邇藝命 (天孫) と結婚して海幸彦·山幸彦の母となった女神。 神名「コノハナノサクヤビメ (木の花の咲く夜姫)」は桜の花が咲き匂う様を擬人化したもので、 桜·富士山の象徴神格として知られる。 一夜孕み伝承と火中出産譚 (火の燃え盛る産屋で三柱の御子を無事出産した話)に基づき、 安産·子育て·火難除けの神として広く信仰される。 全国 1300 社余の浅間神社の主祭神で、 総本宮·富士山本宮浅間大社 (静岡県富士宮市、 大同元年 806 年坂上田村麻呂創建·富士山世界遺産構成資産) に祀られる。 富士山を神体山とする浅間信仰の中軸であり、 富士山頂奥宮·麓本宮の二宮体制で広く崇敬される。 姉·磐長姫との対比譚では「人の寿命が短くなった由来」 が説かれる。

民話・伝承

木花咲耶姫の正体は『古事記』『日本書紀』に登場する神阿多都比売 (カムアタツヒメ)·別名コノハナノサクヤビメである。 父は山の神総元·大山祇神 (オオヤマツミ)、 姉は磐長姫 (イワナガヒメ)。 神名「コノハナノサクヤビメ (木の花が咲く夜姫)」 は桜の花が一夜にして咲き匂う様を擬人化した古代日本語で、 桜の女神·春の象徴神格としての性格を保つ。

物語の中核は『古事記』 上巻末·『日本書紀』 神代下 (第九段) の邇邇藝命との結婚譚である。 天孫·邇邇藝命が日向高千穂に降臨した後、 笠沙岬で美しい姫に出会い、 姫の父·大山祇神に求婚した。 大山祇神は喜んで姉·磐長姫と妹·木花咲耶姫を共に差し出したが、 邇邇藝命は磐長姫の容姿が醜いとして送り返し、 木花咲耶姫だけを娶った。 これに大山祇神は嘆いて「磐長姫を選べば天孫の命は岩のごとく永遠だったが、 咲耶姫だけを選んだので天孫の命は花のごとく短くなる」 と告げた ── これが「人の寿命が短くなった由来」 (=人間が不死を失った神話的説明) として『古事記』 に明記される。

結婚一夜にして木花咲耶姫は懐妊した。 邇邇藝命が「一夜にして懐妊するは我が子ではあるまい、 国つ神の子ではないか」 と疑ったため、 木花咲耶姫は「天孫の子なら無事に生まれよう、 国つ神の子なら焼け死ねよ」 と誓って戸無しの産屋を作って火を放ち、 燃え盛る炎の中で三柱の御子を無事出産した。 三柱は火照命 (ホデリ、 海幸彦)·火須勢理命 (ホスセリ)·火遠理命 (ホオリ、 山幸彦) で、 山幸彦は鵜葺草葺不合命の父、 神武天皇の祖父にあたる ── すなわち皇統の根本系譜の母神である。

信仰史における中軸は富士山本宮浅間大社 (静岡県富士宮市宮町、 浅間神社総本宮) である。 社伝では第 7 代孝霊天皇の御代 (前 290 年頃と伝えられる) に富士山の噴火を鎮めるため山足の地に祀ったのが起源、 大同元年 (806 年) に坂上田村麻呂が現在地に社殿を造営したとされる。 富士山頂に奥宮、麓に本宮を置く二宮体制で、 富士山八合目以上の地は浅間大社の境内地。 2013 年に「富士山·信仰の対象と芸術の源泉」 として世界文化遺産登録された際の構成資産。 浅間信仰 (せんげんしんこう) は富士山を神体山とする山岳信仰で、 平安期~現代まで継承される日本最大の山岳信仰。 全国に約 1300 社の浅間神社が存在する。

民俗信仰では、 木花咲耶姫の三大徳は「桜·安産·火難除け」 である。 桜は神名そのもの、 安産は火中出産譚、 火難除けは「火を制して無事に出産した」 譚から「火に害されぬ」 神威を持つとされる。 山梨県·富士山周辺では富士山を神体とする女神として、 また女性の守護神として今も篤い信仰がある。 江戸期には富士講 (富士山参詣の民俗集団) が組織化され、 浅間信仰は江戸庶民の代表的山岳信仰となった。 現代では桜の名所·富士山関連で結婚式·安産祈願·子供の七五三が盛んに行われる。 桜の花の代名詞でもある神格として、 日本人の春·華やぎ·命の儚さの感性に深く根付いている。

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徹底解説

木花咲耶姫の正体は『古事記』『日本書紀』に登場する神阿多都比売 (カムアタツヒメ)·別名コノハナノサクヤビメである。 父は山の神総元·大山祇神 (オオヤマツミ)、 姉は磐長姫 (イワナガヒメ)。 神名「コノハナノサクヤビメ」 は古代日本語「コノハナ (木の花·桜)」+ 「サクヤ (咲く夜·咲き匂う)」+ 「ヒメ (姫·女神)」 で、 「桜の花が一夜にして咲き匂う様の擬人化」 を意味する。 古代日本人の感性において、 桜は春の到来·命の華やぎ·儚さの象徴で、 木花咲耶姫はそれら全てを宿す女神として位置付けられた。

物語の中核は『古事記』 上巻末·『日本書紀』 神代下 (第九段) の邇邇藝命との結婚譚である。 天孫·邇邇藝命が高天原から日向高千穂に降臨 (天孫降臨) した後、 笠沙岬 (現·鹿児島県南さつま市笠沙町) で美しい姫に出会い、 姫の父·大山祇神に求婚した。 大山祇神は大いに喜んで、 姉·磐長姫と妹·木花咲耶姫を共に多くの献物とともに差し出した。 ところが邇邇藝命は磐長姫が容姿が醜いと見て父のもとへ送り返し、 木花咲耶姫だけを娶った。 これに大山祇神は嘆いて「磐長姫を選べば天孫の御命は岩のごとく永遠であった、 咲耶姫だけを選んだので天孫の御命は花のごとく短くなる」 と告げた ── これが『古事記』 上巻末に明記される「人の寿命が短くなった神話的由来」である。 すなわち、 人類が不死を失った理由を磐長姫と咲耶姫の対比で説明する古代日本の重要な創世神話の一つで、 ギリシャ神話のパンドラ譚に相当する位置を持つ。

結婚一夜にして木花咲耶姫は懐妊した。 邇邇藝命が「一夜にして懐妊するは我が子ではあるまい、 国つ神の子ではないか」 と疑ったため、 木花咲耶姫は「天孫の子なら無事に生まれよう、 国つ神の子なら焼け死ねよ」 と誓って戸無しの産屋を作って火を放ち、 燃え盛る炎の中で三柱の御子を無事に出産した。 三柱は火照命 (ホデリ、 海幸彦)·火須勢理命 (ホスセリ)·火遠理命 (ホオリ、 山幸彦) で、 三柱の名がすべて「火」 を含むのは火中出産の証である。 末弟·山幸彦 (ホオリ) は鵜葺草葺不合命 (ウガヤフキアエズ) の父、 鵜葺草葺不合命は神武天皇 (初代天皇) の父にあたる ── すなわち木花咲耶姫は皇統の根本系譜における祖母 (三代上) に位置する母神である。

信仰史における中軸は富士山本宮浅間大社 (静岡県富士宮市宮町、 全国 1300 社余の浅間神社の総本宮) である。 社伝では第 7 代孝霊天皇の御代に富士山の噴火を鎮めるため山足の地に祀ったのが起源、 大同元年 (806 年) に坂上田村麻呂が現在地に社殿を造営した。 富士山頂に奥宮、 麓に本宮を置く二宮体制で、 富士山八合目以上の地は浅間大社の境内地となっている。 2013 年に「富士山·信仰の対象と芸術の源泉」 として世界文化遺産登録された際、 浅間大社·北口本宮冨士浅間神社·村山浅間神社·須山浅間神社·冨士御室浅間神社·河口浅間神社·浅間神社 (山宮浅間神社) の 7 社が構成資産に含まれた。

浅間信仰 (せんげんしんこう) は富士山を神体山とする山岳信仰で、 平安期~現代まで継承される日本最大の山岳信仰系統である。 富士山の度重なる噴火を鎮めるため噴火神 (浅間大神) を祀る祭祀から始まり、 平安中期に修験道との習合で「富士行 (ふじぎょう)」 が成立、 江戸期に角行 (かくぎょう、 1541-1646) を祖とする富士講 (民間富士山参詣集団) が組織化された。 江戸期には「江戸八百八講、 講中八万人」 と謳われ、 江戸庶民の最大級の山岳信仰となった。 現代では富士山世界遺産登録 (2013) を契機に観光資源としても再定位され、 国内外から年間 3 万人以上の登山客が浅間大社·奥宮を参詣する。

民俗信仰では、 木花咲耶姫の三大徳は「桜·安産·火難除け」 である。 桜は神名そのものに由来し、 全国の桜の名所·桜祭りで象徴される。 安産は火中出産譚に由来し、 妊婦·若い夫婦は浅間神社で安産祈願を行う。 火難除けは「火を制して無事に出産した」 譚から「火に害されぬ」 神威を持つとされ、 江戸期には火消しや町火消の信仰も集めた。 また富士山周辺では女性の守護神·美の女神としても篤い信仰がある (火中出産の清純譚から)。 現代では桜の名所·富士山関連で結婚式·安産祈願·子供の七五三が盛んに行われ、 神社結婚式の人気神社の一つとなっている。 桜の花の代名詞でもある神格として、 日本人の春·華やぎ·命の儚さ·美の感性に深く根付いており、 平安期から現代まで脈々と崇敬されつづける皇統母神·桜の女神である。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
華麗にして強い意志を持つ気質。 自らの清純を炎で証明し、 三柱の御子を無事に生んだ母性の極致。
相性
安産·子育て·縁結びを願う者、 桜·富士山·美容を愛する者、 火難除けを祈る者と最も相性が良い。
能力・特技
桜·春の咲き匂い火中無事出産 (火難除けの極致)安産·子育ての加護富士山·山岳信仰の中軸皇統母神 (山幸彦·神武天皇の祖)
弱点
「咲耶姫は花の女神」 ── 短命·無常の象徴でもある。 姉·磐長姫を排した代償として人の命に「花のごとき短さ」 を与えた神話を背負う。
生息地
富士山本宮浅間大社·全国 1300 社の浅間神社·富士山頂奥宮·北口本宮冨士浅間神社·桜の名所·富士講拠点。

富士山·桜の女神·木花咲耶姫についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

出典・参考文献

6
  1. 木花咲耶姫·邇邇藝命結婚譚『古事記』 上巻末·『日本書紀』 神代下(記紀·神社史·民俗, 712·720) [神道·神話·民俗]天孫·邇邇藝命が日向高千穂降臨後に笠沙岬で出会った美しい姫·神阿多都比売 (コノハナノサクヤビメ)。 父大山祇神に求婚、 姉磐長姫と共に差し出されたが姫だけを娶る。
  2. 火中出産譚 (海幸彦·山幸彦·火須勢理命)『古事記』『日本書紀』(記紀·神社史·民俗, 712·720) [神道·神話·民俗]一夜孕みを疑った邇邇藝命に対し、 木花咲耶姫が戸無しの産屋に火を放ち燃え盛る炎の中で三柱を無事出産。 三柱の名はすべて『火』 を含む。
  3. 富士山本宮浅間大社·総本宮縁起社伝·『富士山本宮浅間神社縁起』(記紀·神社史·民俗, 前 290 年伝承·806 年坂上田村麻呂造営) [神道·神話·民俗]第 7 代孝霊天皇御代に富士山噴火鎮めのため祀ったのが起源、 大同元年 (806) 坂上田村麻呂が現在地に造営。 富士山八合目以上を境内地とする。
  4. 浅間信仰·富士山岳信仰の総体平安~江戸期民俗·富士講(記紀·神社史·民俗, 平安期~現代) [神道·神話·民俗]富士山を神体山とする山岳信仰、 平安修験道との習合で富士行成立、 江戸期に角行を祖とする富士講が江戸庶民最大級の山岳信仰となった。 2013 年世界遺産登録の根拠。
  5. 磐長姫·木花咲耶姫の対比譚 (寿命短命化神話)『古事記』 上巻末(記紀·神社史·民俗, 712) [神道·神話·民俗]邇邇藝命が磐長姫を醜いとして送り返したことで、 人の寿命が花のごとく短くなった由来 ── 日本神話の重要な不死喪失譚。
  6. 大山津見神·神生み段『古事記』 上巻·『日本書紀』 神代上(記紀·神社史·民俗·風土記, 712·720) [神道·神話·民俗]伊邪那岐·伊邪那美の神生みで風神·木神に次いで生まれた山の総元神。 國學院古典文化学事業·神名解釈で「ツ=の」「ミ=神霊」「大=美称」 = 偉大なる山の神霊。

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