安永5年頃に刊行された鳥山石燕『画図百鬼夜行』所収「幽霊」を基調とした像。夜の墓場、枝垂柳の間から女の幽霊があらわれ、白装束に額烏帽子を付し、腕を高く掲げて呼び止めるように描かれる。後世の足無しや三角頭巾が完全に定着する前の過渡的表現で、生者のような腕の力感や、場の象徴としての柳・墓碑が強調される。石燕の図譜は当時の奇談・仏教観・葬送習俗の像を整理し、幽霊の視覚的記号化に大きな影響を与えた。図像は性別や衣装の特徴を示しつつ、未練の所在を具体化せず、見る者に関係性を想起させる余白を残している。
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