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琴古主
ことふるぬし
カテゴリ
付喪神・骸怪
性格
起源
不詳
琴古主
ことふるぬし
基本説明
鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれる箏の付喪神。破損した筑紫箏に目口が生じ、乱れた糸が髪のように垂れる姿で表される。石燕は「八橋といえる盲人の改めしより…」と記し、音色を理解されず忘れられた箏の怨みが形を得たものと示唆する。中世絵巻に見える楽器妖怪の系譜を継ぎ、器物が年を経て霊性を帯びる観念を体現する妖怪である。
民話・伝承
中世の『百鬼夜行絵巻』には琵琶の妖怪に引かれる琴の怪が描かれ、石燕はこの図像伝統を踏まえ箏の付喪神として造形したと考えられる。筑紫箏が世に顧みられず嘆き、夜分に音を鳴らして己の存在を知らせるという解釈が付されることがある。近代以降、肥前の「琴の楠」と景行天皇の説話が関連付けられる例があるが、原典に琴古主の名は見えず、混同には注意が必要とされる。