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文車妖妃
ふぐるまようひ
又称・別名
ふぐるまようび
カテゴリ
付喪神・骸怪
性格
起源
江戸
文車妖妃
ふぐるまようひ
基本説明
鳥山石燕の『百器徒然袋』に描かれる妖怪。文を運ぶ車「文車」にちなみ、古い恋文に積もった執着・情念がかたちを得たものと解される。巻紙を手にした女性像として示され、徒然草第七十二段の「文車の文」を典拠に意匠化された創作的妖怪で、恋文と器物の霊性が結びついた付喪神的解釈が広く流布している。
民話・伝承
近世の怪談・随筆には恋文の執念が鬼形をなす話が見られ、『諸国百物語』巻三「艶書のしうしん鬼となりし事」などが著名。直接に「文車妖妃」の名で語る在地伝承は知られず、石燕画図の影響で後世、古恋文の怨念が化す妖として説明されることが多い。また『徒然草』の一節「文車の文」が観念的な淵源として挙げられる。