名妖
伝統妖怪

金毘羅坊

こんぴらぼう

金毘羅坊

金毘羅坊

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基本説明

金毘羅坊 (こんぴらぼう) は、讃岐·象頭山 (ぞうずさん·琴平山) に座すとされる大天狗で、金毘羅大権現の眷属 (けんぞく) 筆頭に数えられる。 江戸期の百科事典『和漢三才図会』 (寺島良安·1712) は「当山ノ天狗ヲ金比羅坊ト名ヅク」と明記し、象頭山の天狗をこの名で呼ぶ。修験道が金毘羅信仰と深く結びつく過程で、山岳に座す護法善神たる金毘羅権現の使いは天狗と観念され、その総帥がこの金毘羅坊である。 白峯山の相模坊·中将坊と並んで「讃岐三大天狗」の一に数えられる。象頭山の鬱蒼たる山容と海上守護の神威を背に、修験者·参詣者を導き、また狼藉を懲らす存在として畏敬された。

民話・伝承

金毘羅坊の名の初出として確実なのは『和漢三才図会』 (1712) で、象頭山の項に「当山ノ天狗ヲ金比羅坊ト名ヅク」とある。天狗は中世以降、霊山に座す護法善神·眷属神として各地の山岳信仰に組み込まれた存在で、象頭山では金毘羅大権現 (本地は宮毘羅大将·大物主神の習合神) の威光を体現する使いとされた。修験道が盛んになるにつれ、金毘羅権現の眷属は天狗と観念され、その筆頭がこの金毘羅坊と名指された。

象頭山はもともと修験道の行場であり、役行者 (役小角) の開山縁起や、松尾寺·金光院を中心とする修験集団の活動が天狗信仰の母胎となった。江戸期、金毘羅信仰を全国へ広めた先達 (せんだつ·修験者) は、白衣をまとい背に天狗面を負って諸国を巡り、金毘羅参りを勧進した。参詣者もまた天狗面を身につけて山に登る風があり、象頭山と天狗の結びつきは庶民の参詣文化に深く根を張った。現在も奥社 (厳魂神社) の社頭では天狗·烏天狗を意匠した「天狗御守」が授与され、 奥社背後の断崖「威徳巖 (いとくのいわ)」の上方には天狗と烏天狗の彫物が刻まれている

金毘羅坊 (象頭山に座す金剛坊と同一視される) は、白峯山の相模坊 (崇徳上皇の霊に仕えた天狗)、中将坊と並んで「讃岐三大天狗」と総称される。三者はいずれも瀬戸内·讃岐の霊山に座す大天狗であり、讃岐の山岳信仰の厚みを物語る。とりわけ象頭山は海上守護の金毘羅信仰と修験の天狗信仰が重層する山で、海の神と山の天狗が一山に同居する点に、この地の信仰の独自性がある。

徹底解説

金毘羅坊は、単なる山の妖怪ではなく、金毘羅大権現の神威を体現する護法善神 (眷属神) として理解されるべき大天狗である。『和漢三才図会』が「当山ノ天狗ヲ金比羅坊ト名ヅク」と記すように、象頭山という特定の霊山に固有の名を持つ点が、不特定の山に出没する一般の天狗と決定的に異なる。海上守護神·金毘羅と、山岳修験の天狗信仰 ── 海と山という相反する信仰圏が象頭山という一山で交わる、その結節点に立つのが金毘羅坊である。白峯相模坊·中将坊と並ぶ讃岐三大天狗として、瀬戸内の山岳信仰の頂点を占める。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
象頭山の山気そのもののように厳めしく、海上守護の神威を背負って参詣者を導く。信ある者には道を開き、山を侮る狼藉者には容赦なく罰を下す峻厳さを併せ持つ。
相性
修験者·先達·海に生きる船人と縁が深い。山を敬い、道中の作法を守る参詣者を守護する。
能力・特技
象頭山の護法 (山を守り、狼藉者を懲らす)修験者·参詣者の道案内海上守護の神威の体現 (金毘羅信仰との習合)飛行·神変 (天狗の通力)
弱点
金毘羅大権現の神威に従属する眷属神であり、単独の自立した神格ではない。明治の神仏分離で修験·権現信仰が解体された際、公式の祭祀体系から周縁化された。
生息地
象頭山 (琴平山) の山中、とりわけ奥社·厳魂神社一帯と威徳巖の断崖。

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出典・参考文献

4
  1. 和漢三才図会象頭山·金比羅坊条 (寺島良安 1712)寺島良安(杏林堂, 1712) [古典文献]江戸期の図入り百科事典。象頭山の項に「当山ノ天狗ヲ金比羅坊ト名ヅク」とあり、象頭山の天狗を金毘羅坊と呼ぶ最古級の確実な典拠。
  2. 讃岐三大天狗 (金毘羅坊·白峯相模坊·中将坊)(民俗·郷土史) [民俗伝承]讃岐の三大天狗 ── 象頭山の金毘羅坊 (金剛坊)、白峯山の相模坊、中将坊 ── を総称する郷土の伝承枠組み。
  3. 金毘羅権現 (修験道·天狗信仰)(Wikipedia·神道史) [事典·概説]象頭山金毘羅権現の修験道·神仏習合·天狗信仰の概説。眷属を天狗とする観念と先達の勧進活動を伝える。
  4. 金刀比羅宮参拝ガイド奥社編 (威徳巖·天狗御守)金刀比羅宮(金刀比羅宮 (公式)) [公式資料]奥社·厳魂神社の公式案内。威徳巖の断崖上方に天狗·烏天狗の彫物があること、天狗御守の授与、標高 421m·1368 段を記す。

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