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名妖
伝統妖怪

基本説明

迦葉山の天狗は、上野国 (現·群馬県) 沼田の霊峰・迦葉山にまつられる天狗で、東京の高尾山薬王院・京都の鞍馬寺とならび「日本三大天狗」の一に数えられる[1]。その正体は、弥勒寺を曹洞宗へ改めた天巽慶順 (てんそんけいじゅん) 禅師の高弟・中峰尊 (ちゅうほうそん、中峰尊者) とされる。中峰尊は山門の岩屋や峻険な岩山など人力では登れぬ処まで修行者を導く神通力をそなえた僧で、迦葉仏の化身として昇天し、あとに天狗の面を残したと伝えられる[1]。地元の人びとは迦葉山を「てんぐ山」と呼んで親しみ、中峰堂に安置された顔の長さ六・五メートル・鼻の高さ二・八メートルの巨大な「大天狗面」は日本一の大天狗として名高い[2]

民話・伝承

迦葉山龍華院弥勒護国寺は、寺伝では嘉祥元年 (八四八) に天台の円仁 (慈覚大師) が開いたとされるが、実際の創建は後代と考えられている[1]。康正二年 (一四五六) に天巽慶順が曹洞宗へ改宗・中興し、江戸時代には徳川家康の祈願所として朱印百石・十万石の格式を得た古刹である[1]

天狗信仰の中心にあるのが、天巽の高弟・中峰尊である。神通力をもって修行者を導いたこの僧が迦葉仏の化身として天に昇り、天狗面を残したという伝説から、天狗面奉納の習わしが始まったとされる[1]。参詣者はまず中峰堂から天狗面を一面借りて持ち帰り、次に参る折に借りた面と門前で求めた新しい面を添えて寺に納め、また別の面を借りてくる ── この「面を借りて返す」独特の風習が今日まで続く[1]。中峰堂の大天狗面は戦勝祈願・交通安全祈願として奉納されたもので、坐禅堂には昭和五十八年 (一九八三) 奉納の「諸願成就大天狗」があり、沼田まつりの際には御輿として出御する[1]。迦葉山は沼田市街から北へ約十六キロに位置し、天狗の霊峰として参拝客を集めている[2]

徹底解説

迦葉山の天狗は、一般名詞としての「天狗」とは一線を画す、迦葉山弥勒寺に固有の天狗である。その核には実在の高僧・中峰尊者がおり、人を超える行力をもった聖が没後に天狗 (迦葉仏の化身) として山に鎮まったという、僧侶神格化型の天狗信仰が息づく。高尾山・鞍馬とならぶ日本三大天狗という格付け、日本一を誇る大天狗面、そして面を借りて翌年に倍にして返す独自の奉納習俗が、この天狗を他の山岳天狗から際立たせている。徳川家の祈願所という由緒も相まって、戦勝・交通安全・諸願成就を司る現世利益の天狗として、沼田の地に深く根づいている。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
厳格にして慈悲深い修験の師。険路をものともせず修行者を高みへ導く。願をかける者には霊験を授け、誓いを軽んじる者には容赦がない。
相性
修行・精進を志す者、誓願を立てて真摯に通う者と相性がよい。借りた面を返さぬ者、信を欠く者とは縁が薄い。
能力・特技
人力の及ばぬ険路を越える神通力修行者を高みへ導く戦勝・交通安全・諸願成就の霊験迦葉仏の化身としての法力
弱点
借りた天狗面を返さぬなど、信義を欠く参詣者の不誠実。寺院・修験の戒律という枠に結ばれた存在。
生息地
迦葉山龍華院弥勒寺の中峰堂・坐禅堂、および迦葉山 (てんぐ山) 全山。

中峰尊者・迦葉山の大天狗についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

出典・参考文献

2
  1. 迦葉山龍華院 (弥勒寺) ・中峰尊者と天狗信仰(寺伝・百科)(迦葉山龍華院弥勒護国寺, 嘉祥元年(848)寺伝/康正2年(1456)改宗) [寺伝・百科]天巽慶順が曹洞宗へ中興、徳川家祈願所。高弟・中峰尊が迦葉仏の化身として昇天し天狗面を残したとの伝説、面を借りて返す奉納習俗、日本三大天狗を伝える。
  2. 沼田市迦葉山弥勒寺・大天狗面 (観光資料)(群馬県観光)(We Love 群馬, (現代)) [観光・地誌]顔の長さ6.5m・鼻の高さ2.8mの日本一の大天狗面、地元で「てんぐ山」と呼ばれること、沼田市街から北へ約16kmの立地を伝える。

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