👹
珍しい
伝統妖怪

地黄煎火

じおうせんび

カテゴリ
自然現象・自然霊
性格
未練と怨みに縛られ、雨夜にだけ膝頭松のまわりを漂う。人を直接襲うより、無念を火と幻影で示し続ける受動的な妄執。
起源
近江国水口の泉縄手·膝頭松 (現·滋賀県甲賀市水口町)
  • 水口(甲賀市水口町)泉縄手の膝頭松。地黄煎火の出現地(近江国甲賀郡水口)
  • 甲賀郡近江国甲賀郡。地黄煎火の舞台となる郡域
地図で見る

基本説明

地黄煎火(じおうせんび)は、近江国水口の泉縄手に出るとされた怪火である。地黄煎とは、地黄(ジオウ)の根を煎じて練った飴状の甘味で、江戸期に薬を兼ねた菓子として売り歩かれた。その地黄煎を商って暮らしていた男が、貯えた銭をねらう盗賊に泉縄手で殺され、金への執着と無念が雨夜の怪火となって、膝頭松という大木のあたりを漂い飛ぶようになったと伝える[1]。火そのものよりも、売り歩いた男の妄念が火に転じたという点に、近世怪火譚らしい因果のかたちが見える。

民話・伝承

地黄煎火は、速水春暁斎による絵本『絵本小夜時雨』(享和年間)に収められた怪火で、舞台ははっきりと「江州水口の泉縄手」、すなわち近江国甲賀郡水口(現·滋賀県甲賀市水口町)と名指される[1]。泉縄手には膝頭松と呼ばれる大木があり、その下で地黄煎売りの男が盗賊に襲われ、稼いだ銭を奪われて命を落とした。男の怨念と銭への未練が、雨の降る夜になると怪火となって松のまわりを飛び交ったという。挿絵では、単なる火の玉ではなく、松の根方から立ちのぼる地黄煎売りの大きな幻影として描かれることもあり、被害者の妄執が火と人影の双方に現れる点が特徴である。水口は東海道五十三次の宿場町であり、街道筋の松並木と旅人の往来を背景に、行き倒れ・辻斬り・盗賊といった街道の不安が、地黄煎売りという身近な行商人の死に重ねて語られた怪火と読める。

徹底解説

地黄煎火は、近世の怪火譚のなかでも「誰が・どこで・なぜ」が具体的に語られる珍しい例である。被害者は無名の怪物ではなく、地黄煎という実在の甘味を売り歩いた行商人であり、現場は東海道水口宿に近い泉縄手の膝頭松という、人が場所を特定できる大木である[1]。怪火の発生条件も「雨の夜」と限定され、湿気の多い夜に見える鬼火・狐火の体験が、街道での殺人事件の記憶と結びついて一つの怪に固まったと考えられる。火が金への執着の象徴である点は、近世都市の貨幣経済が生んだ怨念譚の系譜に連なり、同じ甲賀郡水口の地に根ざす土地の怪として、片輪車や甲賀三郎とともに語り継ぐ価値がある。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
未練と怨みに縛られ、雨夜にだけ膝頭松のまわりを漂う。人を直接襲うより、無念を火と幻影で示し続ける受動的な妄執。
相性
金銭への執着や非業の死をめぐる怪と響き合う。同じ近江甲賀郡の片輪車のような街道・夜道の怪と土地を共有する。
能力・特技
雨夜の出現膝頭松周辺の浮遊飛行地黄煎売りの幻影化
弱点
特定の松(膝頭松)と泉縄手という場所に強く縛られ、晴れた夜や場を離れては現れにくい。怨念が鎮められれば消えるとされる。
生息地
近江国甲賀郡水口の泉縄手、膝頭松のあたり(現·滋賀県甲賀市水口町)。雨夜の街道筋。

雨夜の泉縄手に灯る地黄煎売りの怨火についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

出典・参考文献

1
  1. 絵本小夜時雨 [古典文献]

このタイプの妖怪に興味がある?

妖怪診断で、あなたの性格に最も近い妖怪を発見しましょう

妖怪診断を始める

神社で今日の守護妖怪に出会う

おみくじを引くと、今日あなたを見守る妖怪が現れます。