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河童 川辺の皿頭・河童
伝説
水神が零落した川の妖

河童川辺の皿頭・河童

かっぱ

水の怪🏞️ 川・池・沼, 春は里の川, 秋は山(山童となる)

詳細説明

河童とは、実は一匹の決まった妖怪の名ではない。川や池に棲む水の霊を、日本じゅうがそれぞれの言葉で呼んできた、その総称にほかならない。南九州ではガラッパ、東北ではメドチ、四国ではエンコウ、中部ではカワランベ、近畿ではガタロ、九州ではヒョウスベ――土地ごとに名も姿も少しずつ違い、その数は八十をこえるとも言われる。猿に近いもの、毛深いもの、群れをなすもの。だが、どれも「水辺にいて、頭の皿に水をたたえ、人や馬を引く」という芯を分かちもつ。河童とは、いわば全国の水の霊が寄り集まった大きな一族の、共通の呼び名なのである。

これほど多彩な変種を一本に束ねているのが、民俗学の見立てである。柳田國男や折口信夫は、河童をもともと水をつかさどる神(水神)だったものが、信仰の衰えとともに妖怪へ零落した姿だと考えた[1]。駒引きの伝説で河童がきまって馬や牛を水へ引こうとするのも、もとは水神に馬牛を捧げて豊作を祈った祭りの記憶ではないか――石田英一郎は『河童駒引考』(1948)で、この馬と水神の結びつきをユーラシア各地の神話と比べてみせた。水をつかさどる神だからこそ、河童は田に水を引き、魚を恵み、接骨の妙薬まで伝える一方で、人を溺れさせ、尻子玉を抜く。恵みと祟りの両面は、零落した水神の表と裏なのである。

水神の名残は、季節のめぐりにも見える。西日本では、河童が秋の彼岸に山へ入って山童(やまわろ)となり、春の彼岸にまた川へ下りて河童に戻る、と広く語られる。春に山から里へ下りる田の神、秋に山へ帰る山の神――その去来の観念と、河童と山童の交替はぴたりと重なる。一族の変種どうしも、こうして互いに地続きにつながっている。

一族には、頭領の伝説まである。九州の球磨川には、九千匹もの眷属を率いて大陸から渡ってきた河童の大将「九千坊(くせんぼう)」の話が伝わる[3]。加藤清正の怒りを買って一帯を追われ、筑後川へ移って久留米の水天宮の眷属になったという。河童がただ一匹の化け物ではなく、川から川へと連なる一族として想像されていたことが、この親分伝説によく表れている。

河童ゆかりの土地は全国にある。岩手の遠野には河童が出るという「カッパ淵」があり、火事を頭の皿の水で消した功により、頭が皿の形をした「かっぱ狛犬」が常堅寺に据えられている[4]。茨城の牛久沼では、生涯河童を描いた画家・小川芋銭が「河童の芋銭」と呼ばれ、福岡の田主丸は「河童族発祥の地」を名のる。東京の合羽橋には、治水を進める商人を隅田川の河童が夜ごと助けたという伝説が残る。今も各地で河童祭が開かれ、酒の銘柄や町のマスコットにもなって、河童は日本でもっとも愛される水の妖怪でありつづけている。

出典情報

種類全体の出典primary

物類称呼

著者: 越谷吾山

年代: 1775

出版社: (方言辞書)

信頼度: B関連度:

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本朝俗諺志

著者: 菊岡沾涼

年代: 1746

出版社: (江戸期の説話・俗信集)

信頼度: B関連度:

種類全体の出典primary

河童駒引考

著者: 石田英一郎

年代: 1948

出版社: 筑摩書房

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

日本書紀

著者: 舎人親王ほか

年代: 720

出版社: (奈良時代の勅撰正史)

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

山島民譚集

著者: 柳田國男

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

西播怪談実記

著者: 春名忠成

年代: 1754

出版社: (怪談集)

信頼度: B関連度:

種類全体の出典primary

水虎考略

著者: 古賀侗庵

年代: 1820

出版社: (考証・図入り)

信頼度: B関連度:

種類全体の出典reference

遠野物語

著者: 柳田國男

年代: 1910

出版社: 聚精堂

信頼度: A関連度:

種類全体の出典reference

和漢三才図会 (寺島良安 1712)

著者: 寺島良安

年代: 1712

出版社: 杏林堂

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

画図百鬼夜行

著者: 鳥山石燕

年代: 安永5年(1776年)

出版社: 国文学研究資料館国書データベース(東京藝術大学附属図書館所蔵)

信頼度: A関連度:

種類全体の出典primary

百怪図巻

著者: 佐脇嵩之

年代: 元文2年(1737年)

出版社: 福岡市博物館(DNPアートコミュニケーションズ画像提供)

信頼度: A関連度:

性格

好奇心旺盛で相撲を好み、約束は固く守る律儀者。いたずらと水難の影、そして水神であったころの名残をあわせもつ。

相性

水を愛し、好奇心と義理堅さをあわせ持つ人

能力・特技

水中を自在に泳ぐ相撲をとる怪力(皿の水が力の源)尻子玉を抜いて人馬を水へ引く接骨の妙薬を授ける

弱点

頭の皿の水がこぼれる・乾くと力を失う / 深いお辞儀を返させ皿の水をこぼさせる / きゅうりや祇園の紋を嫌う

コレクション収録

この妖怪は以下のコレクションに収録されています:

診断評価

🔮

妖怪バウンダリー・タイプ指標

いたずら濃度
3.0

high: 戯 low: 護

📝 メモ

悪戯、水難、尻子玉抜きが広く語られる

変化適応
2.0

high: 化 low: 定

📝 メモ

山童への季節変化や地域ごとの姿の幅を持つ

夜話度
1.0

high: 夜 low: 昼

📝 メモ

水辺の怪だが昼夜どちらにも語られる

情の深さ
2.0

high: 縁 low: 境

📝 メモ

約束や詫び証文を守り人間社会と縁を結ぶ

結界強度
3.0

high: 律 low: 流

📝 メモ

川、池、沼の水域を本拠にする代表的境界妖怪

表舞台圧
2.0

high: 表 low: 影

📝 メモ

川辺で人馬に正面から関わり相撲も挑む

🔮

妖怪相性診断

喜び
8.0

喜びと楽しさの程度

📝 メモ

相撲・川遊びを好み活発で楽しさを体現する

怒り
4.5

怒りの激しさの程度

📝 メモ

怒ると危険だが基本は遊び好きで礼を尽くすため激怒は頻繁ではない

慈悲深い
6.0

慈悲深さの程度

📝 メモ

治療・礼儀を重んじる逸話があるが、尻子玉など加害的側面が相殺

憂鬱
3.5

憂鬱で思慮深い程度

📝 メモ

憂いより好奇心と遊びの性質が強い

静寂
5.0

内なる平静の程度

📝 メモ

水辺の存在として静けさもあるが、活動的でいたずら好きな面が同程度にある

いたずら好き
9.0

いたずら好きで活発な程度

📝 メモ

好奇心旺盛・いたずら好き・相撲好きと明確

やさしい
7.5

やさしく親しみやすい程度

📝 メモ

親しみやすく約束を守る律儀さがある一方、水難や尻子玉伝承の危険面も残る

厳格
6.5

厳格で真面目な程度

📝 メモ

約束は必ず守る律儀さや礼儀(お辞儀)に関する伝承から規範意識が高い

守護的
5.5

他者を守る傾向

📝 メモ

人間との約束を守り助ける話もあるが、悪戯や引き込みの話も多く守護性は中程度

神秘的
6.5

神秘的で不思議な程度

📝 メモ

水神性や皿・水操作など不思議性はあるが全国的で身近な妖怪のため神秘度は中高程度

霊性の深さ
6.5

精神的境界の深さ

📝 メモ

水神としての側面や民間信仰対象だが、神霊的崇高さは高位神ほどではない

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