鈴鹿山から熊野まで ── 田村将軍が平らげた鬼神たちの伝説
坂上田村麻呂の鬼退治
平安初期の武官・坂上田村麻呂は、蝦夷征討で名を馳せた実在の人物でありながら、後世の御伽草子や田村語りのなかで、各地の鬼神を平らげる英雄へと姿を変えていった。なかでも伊勢と近江の境・鈴鹿山では、女神とも鬼女とも語られる鈴鹿御前と契りを結び、その助けを得て山の鬼神・大嶽丸を討ったと伝わる。熊野の鬼ヶ城に拠った金平鹿、牧山の魔鬼女、奈良坂を荒らしたかなつぶて、そして藤原千方に従った四鬼 ── ここに集うのは、源頼光の鬼退治と並び称される、田村将軍の武勇譚に名を連ねた英雄と鬼神たちである。
