本版は『太平記』巻十六「日本朝敵事」に基づく。四鬼は藤原千方の麾下として機能分担が明確で、戦場で互いの術を補完する。金鬼は矢刀を受けつけぬ堅躯で前衛を担い、風鬼は烈風で隊列を乱し、水鬼は地形を選ばず濁流を呼び、隠形鬼は姿気配を絶って斥候・奇襲を司る。四鬼の強さは武略というより、言霊や祈祷に対して退く性質が強調され、紀朝雄の和歌による退散が顕著である。後代の田村麻呂伝説や熊野の退治譚では配列や活躍が変容するが、根幹は「四つの異能が合力して人事を凌駕するも、正道の詞章に伏す」という構図にある。忍法起源視は後世の解釈で、民俗学的には軍記物の鬼神譚が各地の地名説話に結びついた例と位置づけられる。創作物での変種は多いが、本版は軍記の定型を守り、地名・人物の典拠は軍記由来に留める。
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