本所七不思議
江戸·武蔵国本所 (現·東京都墨田区) の代表的怪異群

本所七不思議

江戸時代から伝承される本所 (現·東京都墨田区南部) の代表的怪異群。「七不思議」と称されるが、実際の口承では 9 種類以上のエピソードが存在し、時代·語り手·絵草子によって構成員が変動する流動的な伝承体系である。唯一「常に含まれる」のは置行堀 (おいてけぼり) と片葉の葦 (かたはのあし) の二つで、残り五つは送り提灯·送り拍子木·燈無蕎麦·足洗邸·落葉なき椎·狸囃子·津軽の太鼓から選ばれる。江戸後期の都市怪談の典型として、落語·絵草子·浮世絵·歌舞伎等に頻出し、隅田川下流の本所 (大川端の低湿地·武家屋敷·商家·町人地が混在する江戸城東の周縁部) という地理が育てた江戸文化史の重要素材である。鳥山石燕『画図百鬼夜行』以後の妖怪図譜·近代以降の怪談研究 (柳田國男·折口信夫·小松和彦等)·現代のサブカルチャー (ゲーム·漫画·アニメ) で繰り返し再造形され続けている。