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神格
妖怪

雷神

らいじん

カテゴリ
神霊・神格
性格
荒々しくも畏れ敬われる両義の神。天罰の雷を落とす一方、雨を呼び豊穣をもたらす
起源
賀茂別雷神社 (上賀茂神社、現·京都府京都市北区) / 北野天満宮 (現·京都府京都市上京区、天神信仰) / 雷電神社 (現·群馬県邑楽郡板倉町)

基本説明

雷鳴と稲妻を司る日本の神格で、太鼓を環状に背負い、それを打ち鳴らして雷を起こす鬼形の姿で知られる。風神と一対をなし、俵屋宗達『風神雷神図屏風』 (1620 年代頃、京都·建仁寺旧蔵、現·国宝)では、向かって左に白い肌の雷神、右に緑の風神が描かれる ── ただし雷神は通常赤系で表されるのが一般的で、宗達が金地への対比として白く描いたのは異色である。「雷神」は単一の神ではなく複数の神格が担う機能名で、古典的には賀茂別雷神社 (上賀茂神社)の祭神·賀茂別雷大神が代表する。一方、平安期には清涼殿落雷事件 (930)を機に菅原道真の怨霊が火雷天神と同一視され、天神信仰の雷神として北野天満宮に祀られた。建御雷神も名に雷を負うが、その神格はむしろ剣神·武神であり、雷神そのものとは区別される。

民話・伝承

雷神の最古の姿は『古事記』の黄泉国神話に見える。『古事記』 (712)上巻で、伊邪那岐が黄泉国に腐乱した伊邪那美を見たとき、その体には八柱の雷神 ── 頭に大雷、胸に火雷、腹に黒雷、陰に拆雷、左手に若雷、右手に土雷、左足に鳴雷、右足に伏雷 (合わせて八雷神·やくさのいかづちのかみ) ── が生じていたと記される。『日本書紀』 (720)にも同系の記述がある。古典的な雷神信仰の中心は賀茂別雷神社 (上賀茂神社、京都)で、『山城国風土記』逸文の丹塗矢伝説 ── 玉依姫が賀茂川を流れ来た丹塗矢により身ごもり別雷神を生んだ ── を縁起とする。平安中期には政争に敗れて配流死した菅原道真の怨霊が、延長八年 (930) の清涼殿落雷事件 (落雷で大納言藤原清貫らが死傷し、醍醐天皇も程なく崩じた) を契機に火雷天神と習合し、北野天満宮 (947 創建)の天神として祀られた。説話の世界では、『日本霊異記』上巻に、地に落ちた雷神を助けた農夫が雷の申し子を授かり、それが怪力の僧·道場法師となって元興寺の鬼を退治したと伝える。民間では、雷が鳴ると「雷様にへそを取られる」としてへそを隠す俗信や、「くわばらくわばら」と唱えて雷除けとする習わしが広く知られる。後者は、道真の領地·桑原には雷が落ちなかったという京の伝説と、雷の子を井戸に閉じ込めた摂津·欣勝寺の伝説の二説があり、起源は一定しない。なお、落雷とともに地に落ちると伝わる獣形の怪「雷獣」は、鬼形の神たる雷神とは別系統の存在である。

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徹底解説

雷神像の決定版は俵屋宗達『風神雷神図屏風』であり、二曲一双の金地屏風に、向かって左の白い雷神 (連太鼓を背に環状に負う) と右の緑の風神 (風袋を担ぐ) を対峙させる。この構図は尾形光琳·酒井抱一ら琳派絵師に忠実に模写され、現在の風神雷神図像の規範となった。雷神が背に巡らせる太鼓は、それを打つことで雷鳴を生むとされ、鬼形·虎皮の褌·鋭い爪という造形とともに、天空の荒ぶる力を可視化したものである。信仰史の上では、雷神は三つの系譜に大別される ── 第一に賀茂別雷大神に代表される古典的雷神 (上賀茂神社)、第二に菅原道真の怨霊を火雷天神とする天神系 (北野天満宮、947 創建)、第三に名に雷を負うが本質は剣神·武神たる建御雷神で、これは雷神と同一視すべきでない。関東では群馬·板倉の雷電神社を総本宮とする雷電信仰が広がり、火雷大神·大雷大神·別雷大神を祀って落雷除け·豊作祈願の対象とした。農耕社会において雷は、田に落ちて稲を実らせる「稲妻 (稲の夫)」として豊穣の予兆でもあり、雷神は天罰を下す畏怖の神であると同時に、雨と実りをもたらす恵みの神でもある両義的な存在として敬われてきた。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
荒々しくも畏れ敬われる両義の神。天罰の雷を落とす一方、雨を呼び豊穣をもたらす
相性
風神と一対。天神信仰では菅原道真と結びつく
能力・特技
雷鳴と落雷を起こす太鼓による雷の発生雨をもたらし豊穣を司る
弱点
桑原の地・「くわばら」の呪文を避けるとされる
生息地
天空·雷雲。社では上賀茂神社·北野天満宮·板倉雷電神社

太鼓を打ち雷鳴を起こす神·雷神についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

出典・参考文献

7
  1. 俵屋宗達『風神雷神図屏風』 (国宝)俵屋宗達(伝統文献·美術·民俗, 1620 年代頃) [宗教·民俗·美術史] 参考資料二曲一双·金地屏風·京都建仁寺旧蔵·1952 年国宝指定。 右隻風神 (緑鬼·風袋)·左隻雷神 (白鬼·連太鼓) の対峙構図。 江戸初期琳派最高傑作。
  2. 賀茂別雷神社 (上賀茂神社) [神社·一次史料]賀茂別雷大神を祀る山城国一宮。『山城国風土記』逸文の丹塗矢伝説を縁起とし、古典的雷神信仰の中心。
  3. 清涼殿落雷事件(日本紀略・扶桑略記ほか)((延長8年6月26日の落雷記録), 930) [古典文献] 参考資料清涼殿への落雷で藤原清貫らが死傷。道真を火雷天神とみなす信仰を決定づけた事件。
  4. 北野天満宮(947) [公式情報]菅原道真を火雷天神·天神として祀る。清涼殿落雷事件 (930) を機とする道真怨霊の雷神習合の中心社、947 創建。
  5. 古事記太安万侶((現存最古の日本神話典籍), 和銅 5 年 (712)) [古典文献] 参考資料和銅 5 年 (712) 太安万侶が献上した日本最古の神話典籍。上巻にヤマタノオロチ退治譚を収め、形態描写・八塩折之酒の罠・天叢雲剣出現・須佐之男とクシナダの結婚・須賀の歌等を具体的に記す。國學院大學古事記学センターによる校訂本文・現代語訳が公開されている。
  6. 日本書紀舎人親王ら((養老4年成立の正史), 720) [古典文献] 参考資料推古天皇三十五年二月条に、陸奥国の狢が人に化けて歌ったという記事を含む。狸・狢系の獣変化を考える際の古い記録。
  7. 日本霊異記景戒((日本最古の仏教説話集), 9世紀前半) [古典文献] 参考資料景戒による平安初期の仏教説話集。狐女房譚など、古代日本の狐に関する説話を伝える。

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