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本所横網(落葉なき椎跡)

埋められた堀、消えた屋敷、街角の高札。江戸の都市怪談を約6.1kmで読む

「七つ」では終わらない。本所七不思議を両国から錦糸町へ歩く

JR両国駅から錦糸町駅まで約6.1km。墨田区公式地図の歩行目安は約1時間20分だが、高札とレリーフを読みながら巡るなら3時間30分を見たい。現存する怪異スポットではなく、消えた堀や屋敷の伝承の舞台・推定地を街角の案内でたどる、昼間向けの都市散歩である。

所要時間
3時間30分
移動距離
6.1 km
歩きやすさ
ほどよく歩く
主な移動
徒歩
おすすめの季節
通年。高札を読みやすい日中がおすすめ。真夏の猛暑日と荒天時は短縮する。経路全体のバリアフリー連続性は未確認です。
最終確認
2026年8月13日

出典を明記した公式値を除き、距離・所要時間・歩きやすさは公開情報をもとにしたYOKAI.JP編集部の目安です。実測値や、公式ルート・経路全体のバリアフリー評価ではありません。

本所七不思議の「七」は、固定された七話の名簿ではない。墨田区は『墨田区の民間伝承・民間信仰』をもとに十話を紹介し、「片葉の芦」と「置いてけ堀」以外は時代や記録者によって構成が異なると説明している。[1]

このルートは、いまも怪異が起きる場所を探すものではない。埋め立てられた堀、失われた大名屋敷、道路に変わった割下水を、街角の高札や現代のレリーフから読み戻す旅である。墨田区公式ウォーキングマップの両国駅―錦糸町駅コースを骨格に、YOKAI.JPの地点記事と妖怪事典を重ねて歩く。[2]

「七不思議」を七つに固定しない

本所七不思議には、置いてけ堀、落ち葉なき椎、狸囃子、消えずの行灯、送り提灯、送り拍子木、片葉の葦、足洗い屋敷、津軽の太鼓、入江町の時なしなどがある。どれを七つに数えるかは資料ごとに異なる。[1] この揺れを誤差として消すのではなく、江戸の町で話が語り替えられ、増殖した痕跡として読むのがこの散歩の主題である。

「現場」ではなく、
現場を示す手掛かり

現在目にできるものは三種類ある。第一は、片葉の葦や置いてけ堀のような伝承の舞台を示す高札。第二は、本所七不思議をまとめて可視化した大横川親水公園のレリーフ。第三は、錦糸堀公園の河童像のように、後世の地域が怪談を記憶するために置いた記念物である。墨田区の高札一覧では、片葉の葦、椎の木屋敷跡、置いてけ堀・御竹蔵跡、津軽の太鼓・津軽家上屋敷などの所在地を確認できる。[3]

したがって、案内板の地点を事件の唯一の発生場所と断定してはいけない。特に置いてけ堀には、錦糸堀と御竹蔵周囲の堀をはじめ複数の推定地がある。[1] このルートでは両方を訪ね、その距離そのものを伝承の広がりとして体験する。

両国から錦糸町へ

JR両国駅から、まず両国橋東詰近くの片葉の葦・駒留橋跡へ向かう。そこから隅田川側を北へ回り、落葉なき椎が語られた本所横網へ進む。御竹蔵跡の置いてけ堀、南割下水沿いの津軽の太鼓、亀沢四丁目の足洗邸へ続き、大横川親水公園で七不思議のレリーフをまとめて見直す。最後は錦糸堀公園の河童像で、置いてけ堀のもう一つの推定地を確かめ、錦糸町駅へ抜ける。

墨田区公式コースの数字は、JR両国駅からJR錦糸町駅まで約6.1km、約8,000歩、純粋な歩行目安約1時間20分である。[2] 本ガイドの約3時間30分は、公式の歩行目安80分に、各地点での読解・滞在120分と、信号待ち・短い休憩の予備10分を加えた編集部推計である。逐区間の米数は公式値でも実測値でもないため掲載しない。

歩く時間と注意

高札の多くは住宅地や道路沿いにある。怪談の雰囲気を求めて夜に歩くより、文字と周囲の地形を安全に読める明るい時間帯がよい。私有地へ入らず、玄関や通路を塞がず、撮影時も車道へ下がらないこと。夏は日陰と給水場所を先に確認し、雨天や猛暑日は距離を短縮する。経路全体の段差・路面・横断部を含むバリアフリー連続性は未確認である。

時間が足りなければ、大横川親水公園のレリーフを省いて両国―亀沢―錦糸町へ進む。ただし初めて本所七不思議に触れる人には、複数の物語を一度に見比べられるレリーフを残す方をすすめたい。[4]

巡礼の順路

各地点の物語と移動の流れを、歩く順番に沿って紹介します。

  1. 物語の入口は、消えた橋の名から

    片葉の葦・駒留橋跡高札 · かたはのあし・こまどめばしあとこうさつ

    現在の両国一丁目、駒留橋と片葉堀があったとされる場所から始める。片葉の葦は、片側にだけ葉を付ける葦という身近な現象に、後世、お駒が殺された物語が重ねられた。伝承には異同があるため、高札を唯一の事件現場とは扱わない。[1][3]

    JR両国駅から高札までは徒歩で向かう。交差点では高札を探しながら車道側へ出ず、歩道上で読む。

    アクセス
    JR総武線両国駅から徒歩
    拝観・営業時間
    屋外の高札。公式ページに見学時間の記載はありません。
    費用の目安
    公式ページに見学料金の記載はありません。
    おすすめの季節
    文字を読みやすい日中
    バリアフリー
    経路全体の段差、路面、横断部を含むバリアフリー連続性は未確認です。
    安全上の注意
    交差点と車道に注意し、歩道を塞がないでください。
  2. 両国駅側へ戻り、国技館通りから横網・旧安田庭園方面へ北上する。

    葉を落とさない椎と、屋敷の記憶

    椎の木屋敷跡高札 · しいのきやしきあとこうさつ

    平戸新田藩松浦家の屋敷には、風が吹いても葉を落とさないと噂された椎の大木があった。落葉なき椎の木や屋敷そのものが現存するわけではなく、ここで見るのは「椎の木屋敷跡」を示す高札である。高札の住所点を、旧屋敷の唯一地点とは扱わない。[1][3]

    座標は墨田区が示す高札住所の住所点である。周辺施設へ入る場合は、この街歩きとは別に各施設の公式案内を確認する。

    アクセス
    JR総武線・都営大江戸線両国駅から徒歩
    拝観・営業時間
    屋外の高札。公式ページに見学時間の記載はありません。
    費用の目安
    公式ページに見学料金の記載はありません。
    おすすめの季節
    日中
    バリアフリー
    経路全体の段差、路面、横断部を含むバリアフリー連続性は未確認です。
    安全上の注意
    歩行者と自転車の通行に注意してください。
  3. 横網を東へ進み、御竹蔵跡を示す高札へ向かう。

    「置いてけ」の声がした堀は一つではない

    置いてけ堀・御竹蔵跡高札 · おいてけぼり・おたけぐらあとこうさつ

    釣った魚を持ち帰ろうとすると、堀から「置いてけ」と声がする置いてけ堀。墨田区は、錦糸堀と御竹蔵周囲の堀など複数の推定地を挙げている。ここは御竹蔵側の伝承を示す高札であり、唯一の発生地ではない。[1][3]

    高札の周辺は生活道路。長時間立ち止まる場合は歩行者と近隣住民の動線を空ける。

    アクセス
    JR総武線・都営大江戸線両国駅から徒歩
    拝観・営業時間
    屋外の高札。公式ページに見学時間の記載はありません。
    費用の目安
    公式ページに見学料金の記載はありません。
    おすすめの季節
    日中
    バリアフリー
    経路全体の段差、路面、横断部を含むバリアフリー連続性は未確認です。
    安全上の注意
    道路横断時は信号を利用してください。
  4. 北斎通り方面へ進み、亀沢二丁目の津軽家上屋敷跡高札へ。

    怪音ではなく、理由の見えない特例

    津軽の太鼓・津軽家上屋敷跡高札 · つがるのたいこ・つがるけかみやしきあとこうさつ

    弘前藩津軽家の上屋敷では、火事を知らせる際、一般的な板木ではなく太鼓を鳴らしたと伝わる。津軽の太鼓の不思議は、超自然的な出現よりも、「なぜこの屋敷だけが違うのか」という都市の違和感にある。[1][3]

    南割下水が道路へ変わった現在の景観と、かつて水路沿いに屋敷が並んだ風景を重ねて読む。

    アクセス
    都営大江戸線両国駅から徒歩
    拝観・営業時間
    屋外の高札。公式ページに見学時間の記載はありません。
    費用の目安
    公式ページに見学料金の記載はありません。
    おすすめの季節
    日中
    バリアフリー
    経路全体の段差、路面、横断部を含むバリアフリー連続性は未確認です。
    安全上の注意
    北斎通り周辺の自転車と車両に注意してください。
  5. 北斎通りを東へ進み、亀沢四丁目の伝承エリアへ向かう。

    屋敷の天井から降りる巨大な足

    足洗い屋敷伝承地(亀沢四丁目一帯) · あしあらいやしきでんしょうち

    本所三笠町、現在の亀沢四丁目一帯に伝わる足洗邸。夜更け、旗本屋敷の天井から巨大な足が現れ、洗うよう命じたという。特定の建物を訪ねる場所ではなく、失われた町割のなかに伝承の舞台を置き直す地点である。[1]

    現在は住宅と事業所がある街区。私有地へ入らず、公道から周囲の地形を確認する。唯一の遺跡地点を示せないため、精確な地図ピンは設定していない。

    アクセス
    JR・東京メトロ錦糸町駅または都営大江戸線両国駅から徒歩
    拝観・営業時間
    見学施設ではありません。明るい時間帯に公道から周辺を歩いてください。
    費用の目安
    公式ページに見学料金の記載はありません。
    おすすめの季節
    日中
    バリアフリー
    一般道路を歩きます。経路全体の段差解消状況は未確認です。
    安全上の注意
    車両と自転車に注意してください。
  6. 亀沢から大横川親水公園へ北上し、本所四丁目付近のレリーフを目指す。

    散らばった怪談を、一枚の絵巻として見直す

    大横川親水公園(本所七不思議のレリーフ) · おおよこかわしんすいこうえん・ほんじょななふしぎのれりーふ

    大横川親水公園には、本所七不思議を紙芝居のようにたどれる複数のレリーフがある。ここまで個別の高札で読んだ物語を、現代の地域がどのように視覚化しているかを見直せる。[4]

    水辺では柵内へ入らず、足元に注意する。レリーフ前を撮影で長時間占有しない。

    アクセス
    東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅から徒歩約8分、押上駅から徒歩約13分
    拝観・営業時間
    公園は常時開園(一部施設を除く)。
    休業・休館
    休園日なし(一部施設を除く)。
    費用の目安
    公式ページに入園料の記載はありません。
    おすすめの季節
    レリーフを読みやすい日中
    バリアフリー
    公園内にバリアフリートイレがあります。経路の工事・通行規制は最新案内を確認してください。
    安全上の注意
    水辺では柵内へ入らず、足元に注意してください。
  7. 親水公園から錦糸町方面へ南下し、錦糸堀公園へ。見学後はJR・東京メトロ錦糸町駅へ戻る。

    もう一つの置いてけ堀で、旅を閉じる

    錦糸堀公園(河童像) · きんしぼりこうえん

    錦糸堀公園には、置いてけ堀の声の主を河童とする伝承にちなむ河童像が置かれている。墨田区は錦糸堀も御竹蔵周囲の堀も推定地として紹介しており、両方を歩いたことで「場所が一つに定まらない怪談」の広がりが見えてくる。[5][1]

    公園は常時開園。河童像を見た後、錦糸町駅までの短い移動を含めてルート終了とする。

    アクセス
    JR総武線・東京メトロ半蔵門線錦糸町駅から徒歩
    拝観・営業時間
    常時開園
    休業・休館
    なし
    費用の目安
    公式ページに入園料の記載はありません。
    おすすめの季節
    日中
    バリアフリー
    バリアフリートイレがあります。
    安全上の注意
    通常の公園利用ルールを守ってください。