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神格
伝統妖怪

赤城大明神

あかぎだいみょうじん

カテゴリ
神霊・神格
性格
雄大で寡黙、領土と水源を守る矜持に篤い。隣国の神とは一歩も引かぬ気概を見せる一方、麓の民の暮らしには深い慈愛を注ぐ。
起源
赤城山 (現·群馬県前橋市・旧上野国) / 赤城神社
  • 赤城山(前橋市富士見町赤城山)赤城山を神格化した山神。赤城神社の主神
  • 戦場ヶ原(日光市中宮祠)日光二荒山神との神戦の地。大百足に化身して戦う
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基本説明

赤城大明神は、上野国 (現·群馬県) の赤城山そのものを神格化した山の神である。山頂のカルデラ湖である大沼 (おの) と小沼 (この) を御神体とし、山の神・水の神・農業の神として古来あつく信仰されてきた[1]。記紀の地方経営者である豊城入彦命や、大己貴命 (大国主) と同一視されることも多く、また赤城姫を祀って女神・女性の守り神とする伝承も併存する[1]。関東地方を中心に約三百社を数える赤城神社の総本宮は、山腹の三夜沢赤城神社と山頂の大洞赤城神社とされ、赤城信仰の広がりを今に伝える[1]。妖怪譚としては、隣国下野 (現·栃木県) の日光二荒山の神と中禅寺湖をめぐって争った「神戦」で大百足 (おおむかで) に化身して戦ったことで広く知られる[2]

民話・伝承

もっとも名高い伝承は、日光・二荒山の神との「神戦」である。両神は中禅寺湖の領有をめぐって争い、決着がつかず、ついに武力で決することとなった。標準的な日光側の伝えでは、[2]二荒山の神が大蛇に、赤城の神が大百足に化身し、現在の戦場ヶ原 (せんじょうがはら) で激突した[2]。地名「戦場ヶ原」はこの神戦に由来し、流れた血で原が赤く染まったことから「赤沼ヶ原 (あかぬまがはら)」とも呼ばれたという[2]。当初は赤城方が優勢だったが、苦境の二荒山神は鹿島大明神の助言で奥州の弓の名手・猿丸 (さるまろ) を召し、その矢が大百足の左目を射抜き、赤城方は山へ退いたと語る[2]

一方、群馬県沼田市の老神温泉 (おいがみおんせん) に伝わる開湯伝説では役柄が逆転する。ここでは赤城山の神こそが大蛇であり、日光の神が大百足とされる[3]。矢傷を負った赤城の大蛇神が、抜いた矢を山麓に突き刺すと湯が湧き、その湯で傷を癒やして敵を追い払った。「追い神 (おいがみ)」が転じて「老神」の地名になったといい、いまも毎年五月に「大蛇まつり」が営まれて大蛇の神輿が温泉街を練る[3]。このように勝敗・化身は地域によって異なり、赤城が勝つ異伝と敗れる異伝が並び立つ点に、国境をまたぐ山岳神信仰の対抗関係が色濃く映し出されている[3]

徹底解説

赤城大明神は、関東平野の北縁にそびえる赤城山の総体を神格化した存在である。単一の人格神というより、山・沼・森・湧水を束ねる「場の神」としての性格が強く、ゆえに豊城入彦命とも大己貴命とも、また女神・赤城姫とも結ばれて多面的に語られてきた。神戦譚における大百足 (あるいは大蛇) への化身は、この神の荒ぶる戦闘相であり、平時の農業神・水神としての温和な相とは対をなす。戦場ヶ原・赤沼・老神といった実在の地名がことごとく神戦の痕跡として語られる点に、伝承が土地に深く根を張っていることがうかがえる。日光の神を敵役とする説話群は、上野と下野という旧国の境を神々の対決として物語化したものであり、化身と勝敗の異同 (赤城=大百足/大蛇、勝/敗) はそのまま地域ごとの自負の表れである。

妖怪設定

この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。

性格
雄大で寡黙、領土と水源を守る矜持に篤い。隣国の神とは一歩も引かぬ気概を見せる一方、麓の民の暮らしには深い慈愛を注ぐ。
相性
山と水を敬う者、農耕に勤しむ者と相性がよい。境界や縄張りを軽んじる者、他山の神を侮る者とは衝突しやすい。
能力・特技
大百足または大蛇への化身山岳・水源の支配農耕守護と豊穣の恵み領域を侵す者への神威
弱点
弓の名手の射る矢 (神戦で大百足の左目を射抜かれた)。境界争いに執着するあまり戦を辞さない一面。
生息地
赤城山の山頂・大沼・小沼、および山腹の赤城神社。神戦の舞台となった日光・戦場ヶ原一帯。

赤城山を統べる神・赤城大明神についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。

出典・参考文献

3
  1. 赤城神社由緒 (赤城大明神・赤城信仰)(赤城神社)(赤城神社・赤城山信仰関係資料, (社伝)) [社伝・民俗]赤城山を神格化した赤城大明神を祭神とし、大沼・小沼を御神体とする。豊城入彦命・大己貴命との習合、赤城姫の女神伝承、関東約三百社の赤城神社の総本宮 (三夜沢・大洞) を伝える。
  2. 日光・赤城の神戦伝説 (戦場ヶ原の合戦)(在地伝承)(二荒山・赤城山神戦伝承, (神代の伝え)) [民俗伝承]中禅寺湖の領有を争った二荒山の神 (大蛇) と赤城の神 (大百足) が戦場ヶ原で激突。地名・赤沼の由来、猿丸が大百足の左目を射た決着を伝える。
  3. 老神温泉開湯伝説・大蛇まつり(老神温泉・在地伝承)(老神温泉赤城神社例祭関係資料, (神代の伝え)) [民俗伝承]赤城の神を大蛇、日光の神を大百足とする役柄逆転の異伝。矢傷を癒やした湯が湧き「追い神」が「老神」になったとし、五月の大蛇まつりに伝わる。

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