YOKAI.JP

佐久島さくしま

佐久島に伝わる妖怪 1 体。その土地に根ざした物語と伝承地を辿ります。

  • 布団かぶせ

    布団かぶせ

    稀少

    ふとんかぶせ

    寝床に降る重み・佐久島の布団かぶせ

    住居・器物佐久島·三河湾(現·愛知県西尾市) ── 柳田國男編『海村生活の研究』採集の頭上妖怪

    本項では、現代の妖怪事典類がこの怪に与えてきた 語り直しの過程 に焦点を絞る。一次資料は「ふわっと来てスッと被せて窒息させる」という骨格のみで、戦後の妖怪百科 (水木しげる『日本妖怪大全』系統、京極夏彦・多田克己編集の図鑑類) はこの一文を起点に、「軽く感じた布団が次第に重くなる」「眠っている隙に音もなく落ちてくる」等の細部を補ってきた。これらは一次記録に基づかない後世の脚色であるが、一方で漁村の夜の体感 ── 海風で湿った布団の重さ、過労で動けない金縛り、海から這い上がる潮の冷え ── をうまく現代の読者に伝える装置として機能している。鳥山石燕に類例が無い ── 江戸絵巻には収まらない近代沿岸民俗の怪 ── という出自が、結果として後世の絵師・作家に自由な造形を許す余白を作った点も含めて、この怪の現代的特徴と言えるだろう。