鵺
ぬえ
『平家物語』・頼政退治譚の鵺
動物変化宮中怪異の舞台:平安京内裏(現・京都府京都市)/後世の伝承地:鵺塚(大阪市都島区)、ぬえ塚(兵庫県芦屋市)
鵺は、頼政に射られた一種類の合成獣だけを指す名ではない。『十訓抄』では御殿上で鳴く小鳥として想定され、『平家物語』巻第四では、黒雲から落ちた「変化の物」の声が鵺という鳥に似る近衛院の事件と、「鵺といふ化鳥」を射る二条院の事件が続けて語られる。 流布本系の猿・狸・虎・蛇という身体は、現代まで続く代表的な姿である。しかし伝本によって部位は揺れ、能『鵺』では空ろ舟で流された亡魂が芦屋に現れ、旅僧へ救いを求める。鳥名、怪鳥、合成獣、亡魂が一つの名に重なったところに、鵺の奥行きがある。