洩矢神社に伝わる妖怪 1 体。その土地に根ざした物語と伝承地を辿ります。
もりやのかみ
建御名方神と対峙した諏訪の地主神・洩矢神
洩矢神の魅力は、中央神話の勝者ではなく、土地に先にいた神として語られる点にある。建御名方神は諏訪大社公式史観の中心に立つ諏訪大神だが、その神が諏訪へ入る物語には、受け止める側の神が必要になる。洩矢神はその役を担う。戦い、敗れ、消える神ではなく、和解後に神長官として祭祀秩序の内側へ入る神である。そこには征服と置換だけではない、諏訪らしい信仰の重なり方がある。御柱、ミシャグジ、守矢氏、諏訪明神をひとつの地層として読む時、洩矢神はその地層の境目に立っている。