輪入道わにゅうどう火輪、霞を越える金霞の間に、炎をまとった黒い車輪が浮かぶ。輪の中心には憤怒の入道顔が据わり、こちらを睨んだまま、音のない絵巻の空を転がってくる。 輪入道は姿を見た者の魂を奪うという火車の怪。戸口に「此所勝母の里」と記せば退くとされるが、巻物の中では家も札もまだ見えてこない。作品を見る
馬骨ばこつ金霞をゆく馬骨上下に金のすやり霞が流れる絵巻の中を、古衣をまとった馬の骨が静かに歩く。赤い緒と裂けた布だけが、白い骸に人の暮らしの名残を添える。 『土佐お化け草紙』の馬骨は、火事で死んだ馬の骨が化けたもの。物語の先へ急ぐ百鬼の中でも、この一体だけは置き去りにされた命の時間を運んでいる。作品を見る