鬼八
きはち
霜を降らせる阿蘇の荒神・鬼八
鬼・巨怪阿蘇 (霜神社・往生岳ほか、現·熊本県阿蘇市) ── 健磐龍命に討たれた荒神
鬼八は、阿蘇を拓いた健磐龍命の矢拾い役だった荒神である。疲れて矢を足で蹴り返したことから命の怒りを買い、高千穂まで追われて斬られた。だが斬られた体は繋がって甦ろうとし、三つに分けて埋められてもなお「阿蘇谷に霜を降らせる」と祟った。命はやむなく鬼八を霜神社に神として祀り、毎年五十九日にわたり少女が神火を絶やさず焚いて、斬られて冷えた体を温めつづける ── その火焚き神事はいまも続く。火の山・阿蘇に、霜という冷えをもたらす鬼。討たれた者が神になる、この地の神話の深層を体現している。