日本テレビ系の土曜ドラマ『放送局占拠』は、面(おもて)を着けた武装集団“妖(あやかし)”がテレビ局を舞台に仕掛けるタイムリミット・サスペンス。シリーズ第3弾となる今作は“妖怪”を全面に押し出し、物語の核に据えています。公式では主要キャラクターの相関図や「妖」一覧が公開され、放送とともに“面の正体”も続々と判明中。この記事では、最新の公表情報を押さえつつ、ドラマに登場する妖怪の基礎知識と“ドラマ内での役割”を、視聴直後でも読みやすい温度感で紹介します。(随時更新)
"観ていて「この妖怪ってどういう存在?」と思った方へ。各見出しの直下に、妖怪カードを差し込み済みです。
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能面の「般若」は、嫉妬や執念に灼かれた鬼女の怨念を映す代表面。鋭い牙と角、見開いた眼差しは恐ろしいのに、どこか悲しみが滲む――その二面性が魅力です。ドラマでは“妖”のリーダー=伊吹裕志(演:加藤清史郎)と判明し、正義と暴走のはざまで揺れる人物像が緊張感を牽引します。
豆知識:名称の由来には諸説があり、能面師「般若坊」説 や “智慧(般若)”の語に由来 する説が知られます。
江戸の瓦版に現れた「写して人々に見せよ」と伝える予言獣。ドラマではスタジオで“映す”役割に配され、津久見沙雪(演:ともさかりえ)と明かされています。カメラ=可視化の力と、アマビエの“知らせる”性格が今作で美しく重なります。
豆知識:類縁のアマビコなどとともに“予言獣”の系譜に位置づけられ、社会不安時に描いて掲げる行為が信仰実践として機能してきました。
古い道具が魂を得る付喪神のイメージと結びついた一つ目・一本足のいたずら妖。ドラマでは副調整室(サブコン)担当=小笠原舷太(演:駿河太郎)で、機器と導線を翻弄する“唐傘”のキャラ性が、現場オペレーションに巧く馴染む配役です。
豆知識:絵画や妖怪図鑑で広まった側面が強く、地域伝承は限られるとも言われます。
長く生きた猫が妖力に目覚めるとされる怪異。人語を解し、火を噴く、影で人を惑わす――物語では “疑念を呼ぶ揺さぶり” の象徴にもなります。ドラマでは現場責任者=高津美波(演:入山杏奈)が化け猫の面に該当。冷静さと胸の内の熱が交錯する配役です。
豆知識:各地で “年を経た猫が化ける” 俗信が見られ、猫又伝承とも呼応します。
頭頂の皿、背の甲羅、相撲好き――日本の水辺伝承を代表する人気者。ドラマでは高津波留斗(演:柏木悠/超特急)が河童の面を担い、張り詰めた局内にひと呼吸分の軽さを差し込みます。
豆知識:皿の水が乾くと力を失うとされ、礼節(おじぎ)で水をこぼさせる小話も有名です。
山を駆け、神通力をふるう誇り高き守護者。ドラマでは芝大輔(モグライダー)が演じ、沈黙の圧と瞬発力で現場の空気を一変させます。面の造形と所作が合わさり、登場カットの緊張が際立ちます。
豆知識:中世以降、修験道(山伏) のイメージと結びつき、霊山の守護として語られてきました。
夜闇にそびえる巨大骸骨。ドラマではハッキング/分析の役回りに通じる冷静さを帯び、瞳水ひまりが演じます。
豆知識:実は昭和期の創作妖怪として図鑑・作品で広まった存在。歌川国芳の骸骨絵などと重ねて語られることもあります。
家に福を呼ぶ子どもの姿。棲みつけば栄え、去れば衰える――テレビ局という“場の運命”を象徴する存在としても機能します。正体は放送の進行に合わせて段階的に明らかに。軽やかな足取りが、視線を誘います。
豆知識:東北(とくに岩手)に伝わる福神的な妖怪で、「見た者に幸運が訪れる」という語りが有名です。
燃えさかる車輪に顔がはめ込まれた恐るべき面相。夜道を疾走し、人の魂を奪うと恐れられました。ドラマでは長らく素顔が秘されていましたが、**第7話で“輪入道=八丈豪(原西孝幸/FUJIWARA)”と判明**。なんと第1話のバスジャック犯として冒頭に登場していた人物でした――番組公式の発表・ニュースでも大きく扱われています。
"原西さんは公式コメントで「輪入道は俺やで!…最初は“1話で死ぬ犯人役”と聞いていたので、まさかこんな大事な役だなんて」と振り返り、「7話を見たあと、もう一度1話を見るとより楽しめます」と語っています。
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ドラマ内の文脈:輪入道=八丈豪は、のっぺらぼうに嵌められた末に自爆へ追い込まれた存在。伊吹(般若)の怒りと大和の決断に深い影を落とし、“面の向こう側にある人間の痛み”を強く印象づけます。
豆知識:民間伝承では炎の車輪に乗る怨霊・閻魔の使者など多様に語られ、道や通行を支配するイメージが根強い妖怪です。
『大病院占拠』『新空港占拠』から続く“面の集団”が、今作では妖怪という日本的モチーフと結びつき、覆面=正体の秘匿と伝承=動機の奥行きをつなぐ装置になりました。面が外れるたび、人の記憶・痛み・正義のかたちが露わになる――この“マスクオフ”の快感がシリーズの真ん中にあります。
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“妖”の面は、恐怖を煽る小道具ではありません。般若の悲しみ、アマビエの祈り、天狗の誇り、河童のひとときの軽さ――どれも、こちら側の心にある感情とどこかで響き合っています。
もしこの記事で「この妖怪、もっと知りたい」と感じていただけたら、どうぞ当サイトの図鑑も覗いてみてください。子どもの頃に聞いた懐かしい話や、今の自分だから出会える新しい発見が、きっと見つかるはず。
また今週の放送を見届けたら、**“面の向こう側”**を一緒に更新しましょう。次回も、ここで。