能・狂言の面相に定着した般若像は、平安以降の怨霊思想と中世の芸能美学が交差して成立した。角と牙、吊り上がる双眸は猛りを示す一方、口元や頬の陰影は悲嘆を帯び、舞台では角度により表情が変化して見える。説話では、執着に囚われた女が鬼となり、寺院での法会や読経によって解き放たれる筋が反復され、情念が形を得るという観念が強調される。地域固有の名指しは必ずしも一定せず、寺社縁起や能本の中で役柄として現れるのが通例である。仏教語の「般若(智慧)」とは語形が同一でも意味・由来を異にし、舞台では専ら鬼相を指す語として用いられる。面の色調は白・赤・黒など段階があり、執心の深まりを表す運用が見られるが、細部は流派により異同がある。
性格特徴については、嫉恨深いが内には哀情を宿すまた、相性の良い人については、情に訴える祈祷・回向・和歌供養と相克
主な能力・特技としては、嫉妬心に呼応して鬼形へ変じる、怨念による祟り・迷わせ、火難・水難をもたらすとされる表象的力、声や姿を変えて惑わすなどが挙げられます。
一方で弱点もあり、読経・祈祷・法会, 加持による結界, 故人や当人への回向・懺悔, 時間の経過とともに執念が薄れるとされています。
主な生息地は社寺縁起に登場する舞台, 能舞台, 古寺の伝承地とされています。
下図は伝統面の般若の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。
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