すずりのたましい
石燕の画と添文に基づく解釈。赤間ヶ関の石硯は文房の佳品として知られ、平家終焉の地の記憶と結びつく。読書や写本に心を沈めた折、硯面が海辺のごとくひらけ、微細な武者群が合戦を演じると見えるという。これは硯を「海」に擬し、墨のたまる「海」に歴史の残響が浮かぶという文人的想像力の表現でもある。後代の妖怪解説では、この硯を用いると筆致が冴える、あるいは波音や語りが聞こえるとの言い伝えが併記されることがあるが、核となるのは石燕の記述と、徐玄之説話に見られる文房具上の小人兵の幻視である。付喪神としては、長年用いられた硯が霊性を帯び、持ち主の読書体験と土地の記憶を媒介して、歴史情景を顕わす存在と位置づけられる。
静謐で執念深いと解される
学問・書巻と親和
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由来不詳だが、用いられなくなると気配が薄れるとされる, 粗雑な扱いで霊感が鎮むと伝えられる