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硯の魂
すずりのたましい
カテゴリ
付喪神・骸怪
性格
起源
山口県下関市(赤間ヶ関)
硯の魂
すずりのたましい
基本説明
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた硯に宿る霊。赤間ヶ関産の石硯を文房の友とした者が『平家物語』を読みつつまどろむと、硯面が海と化し、源平合戦の有様が現れたと記される。中国の徐玄之が硯上に甲冑姿の小人群を見た説話も典拠として想起される。後世には、器物の齢で霊性を得る付喪神の一例としても解される。
民話・伝承
石燕の画図では、案頭の硯に波が立ち、源平の戦いを見るごとく現れたと解説される。背景には壇ノ浦で滅んだ平家と赤間ヶ関産硯の縁があると指摘され、怨霊譚との連想が生じたとされる。中国の徐玄之が夜の読書中、案や硯の上に微小の甲冑武者が現れたとする説は『異聞実録』等に伝わり、日本の例に照応するものとして引用されることがある。