江戸の版本文化に支えられた類型で、石燕の図像と狂歌本の心象化の解釈が核となる。具体的怪物というより「後ろ髪を引かれる」感覚を霊格化したもので、背後からの干渉によって行動の決断を鈍らせる。水木しげるは津山地方の説話を紹介し、女の髪を乱し熱い息を吹きかけるなど、実体ある怪異としての相貌も示すが、いずれも背後からの接触と逡巡の喚起が共通点である。臆病神・袖引小僧・震々など、ためらいを生む怪異の一群と同座させて理解されることが多い。信仰的には伊勢に祀るという記事が伝わるが、具体の祭祀形態は不詳で、道徳的・教訓的文脈で引かれる例が主である。都市と在地の双方に語りが残るが、起源の明確な神名・神体の系譜は示されず、言葉遊びと心理の具象化が伝承の推進力となっている。
性格特徴については、執拗で陰気、からかい半分に人心を挫くまた、相性の良い人については、優柔不断・臆病な者とは結びつきやすく、決断の固い者には近づきがたい
主な能力・特技としては、背後から髪を引き行動を躊躇させる、熱い息・冷たい手で首筋に触れ恐怖心を増幅、風を起こし身の回りを乱して驚かす、囁きかけて優柔不断を助長するなどが挙げられます。
一方で弱点もあり、決意を言葉にして断ち切ると離れやすいとされる(伝承一般), 背後を振り向かず歩を進めると影響が薄れるとされる(伝承一般)とされています。
主な生息地は人的生活圏の夜道や辻, 社頭周辺(祀られるとの記事によるが詳細不詳), 津山地方の怪談例とされています。
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