雪ゆきの国くにの美うつくしい妖よう怪かい雪ゆき女おんな

はじまり

むかしむかし、雪ゆきが深ふかく*積[つ]もる東*[とう]北[ほく]地方*[ちほう]の小ちいさな村むらがありました。

そこでは、冬ふゆになると美うつくしい雪[ゆき]女[おんな]が現あらわれるという伝[でん]説[せつ]が語かたられていました。

ある日ひのできごと

ある寒さむい冬ふゆの夜よる、一ひとりの若わかい男おとこが村むらの外そとで迷まよっていました。彼かれは家いえに帰かえれなくなり、途方とほうに暮くれていました。

その時とき、美うつくしい女性*[じょせい]が雪ゆきの中なかから現あらわれました。それが雪ゆき女おんなでした。

雪ゆき女おんなのやさしさ

雪ゆき女おんなは男おとこに優やさしく声こえをかけ、彼かれを暖あたたかい山やま小ご屋やに案内あんないしました。そこで、彼かれは無事ぶじに夜よるを過すごすことができました。

しかし、雪ゆき女おんなは次つぎの日ひの朝あさ、静しずかに姿すがたを消けしてしまいました。

また来きる冬ふゆ

春はるが来くると、男おとこは村むらの人ひと々に雪ゆき女おんなの話はなしをしました。みんなは、雪ゆき女おんなのやさしさに感謝かんしゃし、毎まい年ねん冬ふゆになると彼かのじょに会あえることを楽たのしみにしました。

こうして、雪ゆき女おんなは村むらの人ひと々に忘わすれられない存在そんざいとなりました。