
水虎幼児大の鱗甲・水虎
すいこ
詳細説明
この版では、水虎が口伝の妖怪ではなく「書物のなかで形づくられた怪」である点を掘り下げる。河童が川辺の暮らしの恐れから生まれ、地方ごとに無数の姿と名をもつのに対し、水虎の像はもっぱら中国の本草・地誌の引用を通じて伝わった。だから語られる要点もほぼ一定している――幼児ほどの体、堅い鱗、秋に砂上で甲をさらすこと、そして膝だけを水面に見せること。
日本の知識人は、この中国の記述を引きながらも、目の前の河童とどう関係づけるかに頭を悩ませた。『和漢三才図会』[1]は両者を並べて「似ているが同じではない」と慎重に区別し、『水虎考略』[2]は各地から集めた水の怪の報告を「水虎」の枠で整理しようとした。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』[3]の図も、この大陸由来の知識を絵にしたものである。捕獲や薬効をうたう記事もあるが、本ごとに解釈が分かれ、実際のところは判然としない。水虎とは、河童という身近な怪を、漢籍の知識でとらえ直そうとした近世の試みが残した、もう一つの水の怪の姿だといえる。
出典情報
種類全体の出典primary
本草綱目
著者: 李時珍
年代: 1596
出版社: (明代の本草書)
種類全体の出典reference
水虎考略
著者: 古賀侗庵
年代: 1820
出版社: (考証・図入り)
種類全体の出典reference
和漢三才図会 (寺島良安 1712)
著者: 寺島良安
年代: 1712
出版社: 杏林堂
種類全体の出典primary
今昔画図続百鬼「逢魔時」
著者: 鳥山石燕
年代: 安永8年(1779)
出版社: 江戸東京博物館所蔵・国文学研究資料館国書データベース
種類全体の出典reference
画図百鬼夜行
著者: 鳥山石燕
年代: 安永5年(1776年)
出版社: 国文学研究資料館国書データベース(東京藝術大学附属図書館所蔵)
性格
川の淵に潜み、膝や甲だけをさらして容易に全身を見せない。河童に似て獰猛だが、その正体は書物の中に半ば隠れている。
相性
古典籍や博物学、考証を好む人
能力・特技
弱点
水上に長くさらされると動きが鈍るとされる / 全身の確かな像は資料により定まらない
コレクション収録
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
診断評価
妖怪バウンダリー・タイプ指標
いたずら濃度
2.0high: 戯 low: 護
📝 メモ
水際で奇襲する獰猛な水獣として語られる
変化適応
-1.0high: 化 low: 定
📝 メモ
鱗甲の水獣像が主で変化はしない
夜話度
1.0high: 夜 low: 昼
📝 メモ
水怪だが夜の限定は薄くやや陰側に留める
情の深さ
-2.0high: 縁 low: 境
📝 メモ
人への情念より書物上の水棲怪として超然
結界強度
3.0high: 律 low: 流
📝 メモ
川の合流点や淵という水域に強く属する
表舞台圧
-2.0high: 表 low: 影
📝 メモ
膝や甲だけをさらし全身を見せない水怪
妖怪相性診断
喜び
1.5喜びと楽しさの程度
📝 メモ
喜悦や遊興に関する記述は皆無で、静かな潜伏性格が中心。
怒り
6.0怒りの激しさの程度
📝 メモ
挑発に反応しやすいとされ、攻撃的側面(奇襲)があるため中高程度。
慈悲深い
2.0慈悲深さの程度
📝 メモ
慈悲や助勢の逸話が見られず、薬効や使役の記述はあるが具体性に乏しい。
憂鬱
4.5憂鬱で思慮深い程度
📝 メモ
憂いを示す直接記述はないが、陰性で水底に潜む性質からやや高めに評価。
静寂
6.5内なる平静の程度
📝 メモ
寡黙で慎重、普段は水中で静止し目立たない点は静寂性が高い。
いたずら好き
1.5いたずら好きで活発な程度
📝 メモ
いたずら的性向の記録はなく、河童と異なり戯れの逸話が乏しい。
やさしい
2.0やさしく親しみやすい程度
📝 メモ
寡黙で慎重だが親和的描写は少なく、水辺での奇襲など脅威性が示唆されるため低め。
厳格
5.5厳格で真面目な程度
📝 メモ
慎重で規則的な行動(秋に甲を曝すなど周期性)から中程度の厳格さを推測。
守護的
2.5他者を守る傾向
📝 メモ
守護者としての役割は伝わらず、むしろ川の怪異として恐れられる文脈が中心。
神秘的
8.0神秘的で不思議な程度
📝 メモ
常に水中に潜み一部のみを見せる・資料により差が大きい・詳細不詳とされる点が強い神秘性を示す。
霊性の深さ
5.0精神的境界の深さ
📝 メモ
本草・地誌的出典が中心で霊的教訓性は薄いが、水難譚や水辺禁忌と関連づけられる点で中庸。
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