蜃の吐気による楼閣像(石燕系図像)についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。
蜃気楼
しんきろう
カテゴリ
自然現象・自然霊
性格
起源
海浜各地
蜃気楼
しんきろう
基本説明
蜃気楼は、海辺や砂浜の遠景に楼台や宮殿のごとき影像が浮かぶ現象を、古来「蜃(おおはまぐり)」が気を吐いて成す妖しとして捉えた呼称。『史記』の記述が知られ、日本では絵画や説話を通じて蜃の吐息が景を映すとされた。実見は越中の海岸や干潟など各地に伝わり、海上に浮ぶ城郭の幻視として語られる。
民話・伝承
江戸期の絵師・鳥山石燕は『今昔百鬼拾遺』で「蜃とは大蛤なり」と注し、海辺に楼台が現れる古説を図像化した。以後、広重らも画題として扱い、海上に城郭が屹立する図様が流布した。各地の浜では晴れた日に遠景が揺らぎ、城や門のように見えたと語られるが、その所在は定まらず、近づけば消えるものとされた。