基本説明
鳥山石燕『画図百器徒然袋』[1]に描かれる化け猫。二股の尾を持つ猫が、囲炉裏で釜を支える道具「五徳」を冠のように頭に載せ、火吹き竹を手に火をあおぐ姿で表される。石燕は『徒然草』[2]に見える「五徳の冠者」の語を踏まえ、器物の五徳と渾名の語呂を掛けた注を添えた。室町期の百鬼夜行絵巻に見える、頭に五徳を載せた異形との図像的連続も指摘される。
民話・伝承
『徒然草』[2]第226段には、舞曲「七徳の舞」のうち二徳を忘れて「五徳の冠者」と渾名された信濃前司行長の逸話があり、石燕はこれを引いて語呂による注を付した。すなわち五徳猫は、囲炉裏道具の五徳と人物の渾名とを掛けた、石燕一流の言葉遊びの上に成った妖怪である。室町の百鬼夜行絵巻に頭へ五徳を載せた異形が描かれており、五徳猫はその図像系譜を踏まえた描出とされる。みずから火を起こすといった挙動の説明は後世の解釈で、古い史料に明確な記載は乏しい。
コレクション収録
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
徹底解説
本バージョンは、鳥山石燕の原図と先行図像を基準に再構成した五徳猫像である。二股の尾を持つ老猫が器物の五徳を冠のように戴き、囲炉裏の縁に佇む。石燕は『百器徒然袋』で器物怪と動物怪の境界を遊び、注で『徒然草』の「五徳の冠者」を引き、語呂をもって解釈を与えた。これにより、五徳猫は単なる化け猫ではなく、道具と文芸的典拠が結びついた象徴的存在として位置づけられる。室町の『百鬼夜行絵巻』に見える五徳を戴く妖怪は、器物を頭上に載せた群像の一つであり、石燕はその系譜を継ぎつつ猫相を与えたと見られる。昭和以降に広まった「自ら火を起こす」像は、図中の火吹き竹の表現から派生した後年の推測で、古記録に具体の所行は明示されない。従って本位では、囲炉裏辺で現れて火の気配とともに目撃される存在として抑制的に捉える。
妖怪設定
この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。
- 性格
- 寡黙・不可思議
- 相性
- 火と器物に関わる場所で目撃されやすいとされる
- 能力・特技
- 長命の猫ゆえ二股の尾を持つとされる囲炉裏場に現れて火の気配を伴うと伝えられる器物と結びつく象徴的存在として不意に姿を見せる
- 弱点
- 詳細不詳, 猫一般と同様に大きな音や強い光を嫌うとされることがある
- 生息地
- 囲炉裏のある座敷, 古い台所, 納屋・土間
出典・参考文献
2- 1
画図百器徒然袋 — 鳥山石燕((天明4年・付喪神絵本), 1784) [図像資料]石燕最後の妖怪絵本。徒然草もじりの夢仕立てで、ばけの皮衣を上巻に収める。 - 2
徒然草(第十九段) — 吉田兼好((随筆/煙々羅詞書の典拠とされる、近藤瑞木の指摘), 14世紀前半(鎌倉末〜南北朝期)) [古典文献] 参考資料
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