ちりづかかいおう
塵塚怪王は文献上、鳥山石燕の『百器徒然袋』に示された図像が中心で、具体的な事績や言行は伝わらない。画面では筋骨逞しい赤みの強い鬼形が唐櫃をこじ開け、周囲に塵や紙片が舞う。石燕は「塵つもりてなれる山姥らの長」といった旨を添え、能『山姥』の詞章「雲の塵積って山姥となれる」を踏まえた観念的説明を施している。ただし山姥と本妖怪を直接結ぶ伝承は見つからず、位置づけは曖昧である。明治期の摸写や無記名の絵巻にも同様の図が見られ、名称は「怪鬼」などに変じることがある。平成以降には「塵・ごみの付喪神の王」とする解説が散見されるが、これは後代の解釈で、古伝に確証はない。図像学的には『百鬼夜行絵巻』の唐櫃割りの主題と、『徒然草』の語句引用が合体した近世的創作と理解される。
不詳
不詳
評価スコアと信頼度を可視化
詳しい相性診断は下記のテストで確認できます
不詳