
疫病神辻越え病を運ぶ・疫病神
やくびょうがみ
詳細説明
宮廷儀礼と民間信仰の双方で意識された疫病神の古層的像。普段は不可視で、季節の変わり目や花の散る頃に勢いを得るとされ、里の境・辻・河岸を通って入り、家々の不浄や怠りを契機として病いを広める。絵画史料では鬼形・異形が群れて行く姿が描写され、説話では旅の老人や老婆として戸口に立ち、施しや応対の作法の乱れを嫌うと語られる。対策は境の祭、祓、供饗、護符掲示、人形送りなどの共同作法にあり、特定の期日に粥や供物を設けて遠ざける風が行われた。個別の姿形や名を固定せず、土地の作法と年中行事に即して現れるため、地域差が大きいが、いずれも「境を整え、穢れを祓う」実践と結びついて語り継がれる。
出典情報
種類全体の出典primary
備後国風土記逸文(蘇民将来説話)
著者: (『釈日本紀』所引の逸文)
年代: 古代(逸文の伝承)
出版社: (武塔神=牛頭天王が蘇民将来に茅の輪を授ける疫病除け縁起)
種類全体の出典primary
疫病神の誓紙伝承(文政3年・江戸愛宕下仁賀保家)
著者: (『竹抓子』等の江戸随筆)
年代: 文政3年(1820)
出版社: (捕えた疫病神が「家に入らぬ」と証文を残したという流布譚)
種類全体の出典primary
疱瘡神と赤絵(疱瘡絵)の民俗
著者: (江戸期の疱瘡除け習俗)
年代: 江戸後期
出版社: (疱瘡神は赤を忌むとして赤絵を飾り、鎮西八郎為朝・鍾馗・達磨を描く)
種類全体の出典primary
宮川舎漫筆
著者: 宮川政運
年代: 安政5年(1858)
出版社: (小豆粥を供す家には入らぬと疫神が教えた説話を載せる随筆)
種類全体の出典primary
続日本紀(大宝元年正月元日条)
性格
冷厳・執拗・群行をなす
相性
潔斎を守る者・境を慎む家と相剋しやすいが、供饗と祓により退く
能力・特技
弱点
祓と潔斎, 道饗・供饗の作法, 護符(鍾馗・牛頭天王・角大師など), 人形送り・茅の輪くぐり, 小豆粥などの年中行事食
診断評価
妖怪バウンダリー・タイプ指標
いたずら濃度
2.0high: 戯 low: 護
📝 メモ
流行病を広め家内へ侵入するが、祀れば守護へ反転する両義性がある
変化適応
2.0high: 化 low: 定
📝 メモ
不可視の疫神が老人、老婆、旅人など人の形を取る
夜話度
1.0high: 夜 low: 昼
📝 メモ
夢や兆しとして現れるが、特定の夜間出没に限定されない
情の深さ
2.0high: 縁 low: 境
📝 メモ
辻や戸口から家に入り込み、供饗や送りの作法に強く結びつく
結界強度
3.0high: 律 low: 流
📝 メモ
都村の境、辻、橋、河岸で迎え送り出す境界祭祀の神格である
表舞台圧
-2.0high: 表 low: 影
📝 メモ
通常は不可視で、老人や旅人の姿でまれに戸口へ現れる
妖怪相性診断
喜び
0.5喜びと楽しさの程度
📝 メモ
喜悦の描写はなく、楽しさと結びつかない。
怒り
6.5怒りの激しさの程度
📝 メモ
怠りや不浄に付け入る執拗さ・群行性は威圧的で、祟り・荒ぶる性格を帯びる。
慈悲深い
1.0慈悲深さの程度
📝 メモ
供饗や誓紙で退く事例は交渉可能性を示すが、弱者救済の意図は乏しい。
憂鬱
3.5憂鬱で思慮深い程度
📝 メモ
憂鬱の情感は明示されないが、老人像や季節の衰微(花の散る頃)と結びつき陰鬱さが漂う。
静寂
2.0内なる平静の程度
📝 メモ
冷厳ではあるが内的な静謐というより侵入・伝播の動的性格が強い。
いたずら好き
0.5いたずら好きで活発な程度
📝 メモ
悪戯的ではなく、制度的・儀礼的に対処される重い災厄神。
やさしい
0.5やさしく親しみやすい程度
📝 メモ
病と災厄をもたらす悪神像で、親和性や情けはほぼ示されない。供饗で退くことはあるが優しさではない。
厳格
8.0厳格で真面目な程度
📝 メモ
潔斎や境の作法の乱れを厳しく咎める存在として語られ、規範性が強い。
守護的
1.0他者を守る傾向
📝 メモ
基本は加害者。結果的に作法を促す教訓的機能はあるが守護とはいえない。
神秘的
8.5神秘的で不思議な程度
📝 メモ
不可視で夢兆・来訪者譚に現れ、季節や境界に関わる出現様式が秘儀的。姿形も固定されず神秘性が高い。
霊性の深さ
8.5精神的境界の深さ
📝 メモ
宮廷儀礼から民間信仰、境界観・祓の思想と深く結びつき、霊的・民俗学的深度が高い。
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