基本説明
釣瓶火は、夜道の樹上から井戸の釣瓶のように上下する怪火である。鳥山石燕『画図百鬼夜行』[1]に図像が見え、京都西岡周辺で語られた「釣瓶おろし」の怪火を典拠とする解釈がある。四国・九州では木の精が青白い火球となって枝にぶら下がるとされ、炎は物を焼かず、時に人獣の顔が浮かぶという。山道に静かに現れる怪火の一種とみなされ、目撃譚が各地に伝わる。
民話・伝承
『古今百物語評判』(貞享3年・1686年)[2]には京都西岡の「釣瓶おろし」の怪が論評され、石燕がこれを「釣瓶火」と名付けて描いたとされる。昭和以降の資料では、四国・九州の山道で夜に樹上から火玉が上下し、人を驚かすが燃え移りはしないと解される。菌類や腐植に由来する生物発光とする民俗学的見立ても紹介されるが、在地の伝承では怪火として語られるに留まる。
コレクション収録
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
徹底解説
江戸期の怪談と石燕の図像に基づく釣瓶火の伝統的解釈。木霊・樹の精に由来する怪火として各地で語られ、青白い火珠が枝先からぶら下がり、井戸の釣瓶のように上下して旅人を惑わす。火勢は見かけほど強くなく、衣や草木に燃え移らないとされる。近世の怪異記には京都西院周辺の火の怪が引例され、近代以降の妖怪事典では釣瓶落とし類似の怪火、あるいは別種として整理される。目撃は月のない晩や霧の立つ夜に多いとされ、近づくとふっと遠のき、離れるとまた寄る。顔の影が浮かぶことがあり、人魂との混同も生じたが、地付きの怪火として伝えられる。
妖怪設定
この区画は物語を楽しむための当サイト独自の設定です。史実・考証ではありません。
- 性格
- 無害だが執拗にまとわりつく
- 相性
- 静かな夜道や樹間を好む
- 能力・特技
- 樹上からの上下運動(遠近感の攪乱)人畜に燃え移らない冷たい火弱い発光で足元を惑わす
- 弱点
- 強い風で形を保てない, 雨天で消えやすい, 人の賑わいを避ける
- 生息地
- 京都府京都市右京区周辺(西院伝承), 四国の山道, 九州の山間部
出典・参考文献
2- 1
画図百鬼夜行 — 鳥山石燕(国立国会図書館デジタルコレクション, 安永5年(1776年)) [古典文献]鳥山石燕による妖怪画集。文化2年(1805年)の再刻本で「釣瓶火」の原図を公開し、樹上から釣瓶のように垂れ下がる怪火を確認できる。 - 2
古今百物語評判 — 山岡元隣(早稲田大学図書館古典籍総合データベース, 貞享3年(1686年)) [古典文献]巻一第四話「西の岡の釣瓶おろし并陰火陽火の事」に、大木の精と怪火をめぐる論評を収める。
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