月の兎を日本の図像学に即して示す像。飛鳥期作例にまで遡る月像内の兎は、中世の仏教絵画で日天の烏と対に描かれ、天象を担う存在として受容された。近世に入ると、中国由来の臼杵を用いる兎の図が書物や版画を通じて普及し、十八世紀には臼が日本的なくびれ形へと変化していく。やがて兎は不老薬ではなく餅を搗く姿として理解され、月見・望月と語呂を通じて年中行事に結び付いた。説話面では、自己犠牲を体現した兎が帝釈天により月へ昇る由来譚が核となり、月面の陰影や煙のような模様がその痕跡と解釈される。民俗的には、月を仰ぎ兎影を探る習俗、月待や観月の席での語り物の題材として長く継承され、他の天象妖や月天信仰と重なり合いながら存続した。
妖怪設定
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