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滝霊王
たきれいおう
カテゴリ
神霊・神格
性格
起源
不詳
滝霊王
たきれいおう
基本説明
江戸期の絵師・鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に見える名で、滝の中に現れる不動明王の相を描いたもの。石燕は「諸国の滝つぼよりあらはるる」と注し、青竜疏に拠り「一切の鬼魅諸障を伏す」と記す。実際には妖怪というより、滝に顕現する明王信仰の表象とみなされ、名称は石燕独自の題とされる。詳細な伝承は乏しく、地域的な異名・具体事例は不詳。
民話・伝承
滋賀県・葛川息障明王院では、相応和尚が滝壺から得た霊木で不動明王像を刻んだ縁起が伝わる。この種の滝と明王を結ぶ信仰は修験・天台系で広く見られ、滝場を霊地として明王の降臨を語る説話が各地に散在する。石燕の図は、こうした滝神・明王顕現譚を背景に、滝壺から出現して魔を降伏する姿を視覚化した作と解されるが、固有の口承事例は示されない。