那須の温泉地に据わる怪石として語られ、噴気地帯の有毒な瘴気が「毒気」として理解されてきた。九尾狐の物語では、都を騒がせた妖狐が東国に走り、討伐ののち石と化して害をなしたとされる。石は僧の法力により打ち砕かれたが、その破片が諸国に散ったとする筋は、名所伝承と在地の怪異譚を結びつける機能を持つ。俳諧や紀行文にも見え、景観・宗教禁忌・獣害の記憶が重層的に残った。現地では温泉神社の祭祀が山の火と石の霊威を鎮める語りと響き合い、参詣道沿いの硫気や荒涼たる地形が物の怪の気配として体験されてきた。怪異要素は石自体が意思を持つというより、近づけば命を落とす「境域」としての性格が強く、結界を破る行為が災いを招くという民俗的理解に根ざす。打ち砕かれた後日譚として各地の小石や祟り物への転化が語られ、犬神・オサキなど在地の憑き物譚と接続する異伝も知られるが、細部は地域ごとに異なり一定しない。
性格特徴については、冷厳・近寄りがたいまた、相性の良い人については、畏敬を払う者とは無害、慢心する者には災い
主な能力・特技としては、毒気(瘴気)を発する場として畏れられる、結界の境域として人畜を近づけない、名を呼ぶことで禁忌を意識させる霊威などが挙げられます。
一方で弱点もあり、読経・法力など鎮魂の作法, 風雨や地変による割目(霊威の衰えと解釈される), 結界を守る心構えとされています。
主な生息地は下野国・那須湯本の噴気地帯, 諸国の怪石伝承地(破片譚)とされています。
下図は那須の殺生石(伝統譚)の診断評価図です。各項目の値が高いほど、その特性が強く表されていることを示しています。
那須の殺生石(伝統譚)についてさらに詳しい情報や診断結果については、こちらをご覧ください。