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沓頬
くつつら
カテゴリ
付喪神・骸怪
性格
起源
不詳
沓頬
くつつら
基本説明
鳥山石燕『百器徒然袋』に描かれる妖怪。動物と人の中ほどの姿に浅沓を載せたように表され、名称は「沓(くつ)+頬(つら)」の当て字と解される。石燕は中国故事「瓜田李下」に触れ、瓜畑に現れて瓜を食う怪を霊符で退けた説話を引用しつつ、この怪をその類と示唆する。具体の性質や出没地は作中以外に確かな伝承が乏しく、図像と出典言及が主な情報である。
民話・伝承
石燕は「瓜田に怪ありて瓜を喰ふ。霊隠寺の僧の与えた符を畑に置くと怪は去り、符に『李下不正冠』の五字があった」とする中国由来の怪談を引く。沓頬はその怪に擬せられた存在として描かれたが、日本各地に固有の口承は確認されず、室町の『百鬼夜行絵巻』に見える浅沓を載せた獣形の図像との関連が指摘されるに留まる。