
玉藻前鳥羽院寵愛の九尾狐・玉藻前
たまものまえ
詳細説明
この版では、玉藻前が正体を暴かれ、討たれるまでの顛末に目を向ける。鳥羽上皇の病がいよいよ重くなったとき、占いを命じられた陰陽師の安倍泰成(史実の安倍泰親がモデルとされる)は、病の元が玉藻前その人であることを言い当てた。泰成が宮中で祈祷を行って追いつめると、玉藻前はついに人の姿を保てなくなり、狐の正体をあらわして都から東へと逃げ去る。
逃げ込んだ先は、下野国の那須野(いまの栃木県那須一帯[1])であった。野に潜んで人や家畜を害する妖狐を退治するため、朝廷は東国の武士、上総介広常と三浦介義明らを差し向ける。武士たちは野を囲んで狩り立て、ついに矢で狐を射倒したと伝わる。玉藻前を仕留めたこの武士たちの名は、源平のころに実在した坂東武者のものと重なっており、伝説と史実が地続きに語られているのがおもしろい。
物語のなかで玉藻前は、たいてい「傾国の美女」――その美しさと知恵で国の頂点に取り入り、内側から傾けてしまう者――の代表として描かれてきた。しかしその一方で、討たれたのちには祠に祀られ、神として手を合わせられてもきた。恐ろしい妖狐でありながら、どこか心を惹かれずにいられない。この二面性こそが、玉藻前を単なる悪役で終わらせず、長く愛されつづける存在にしている。
出典情報
種類全体の出典reference
絵本三国妖婦伝
著者: 高井蘭山
年代: 1803-1805
出版社: (江戸期読本)
種類全体の出典primary
玉藻前曦袂
著者: 浪岡鯨児・浅田一鳥・安田蛙文ほか
年代: 1751
出版社: (人形浄瑠璃・豊竹座初演)
種類全体の出典primary
玉藻稲荷神社 縁起
出版社: 栃木県大田原市
種類全体の出典reference
玉藻の草子
著者: 著者不詳
年代: 室町時代
出版社: (御伽草子)
種類全体の出典primary
玉藻前はいつから九尾の狐になったのか
著者: 寺島修一
年代: 2018
出版社: 武庫川女子大学
種類全体の出典primary
今昔画図続百鬼「逢魔時」
著者: 鳥山石燕
年代: 安永8年(1779)
出版社: 江戸東京博物館所蔵・国文学研究資料館国書データベース
種類全体の出典primary
神明鏡
年代: 天文9年(1540年)
参照: p.66
性格
才知と美貌で人の心をつかむ一方、目的のためには帝さえ蝕む冷徹さを秘める。表向きは優雅で物柔らかく、内には誰にも折れない執念を抱く。
相性
権勢の中枢、雅な宮廷、人の慢心や欲に近いほど力を増すとされる
能力・特技
弱点
陰陽師の祈祷・占いに正体を暴かれる / 神仏の加持・調伏 / 水面や鏡に本性が映る
コレクション収録
この妖怪は以下のコレクションに収録されています:
かっこいい妖怪|強さ・速さ・異形美で見る日本の怪異
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有名な妖怪|日本を代表する妖怪・鬼・怪異
鬼、河童、天狗、雪女、座敷童子、ぬらりひょんなど、日本で有名な妖怪を一覧で紹介。古典、地域伝承、妖怪画、現代文化から知名度の背景をたどります。
美しい妖怪|妖艶な日本の妖怪・女神・変化譚
雪女、玉藻前、絡新婦、骨女、鈴鹿御前など、美しい妖怪を伝承・変身・装束・悲恋・死者の面影から紹介します。
女妖怪|女性の姿で語られる妖怪・鬼女・女幽霊
雪女、産女、玉藻前、絡新婦、鬼女、女幽霊、口裂け女など、女性の姿で語られる日本の怪異を、由来と物語の違いから紹介します。
狐の妖怪と伝説|九尾の狐・葛の葉・稲荷信仰
九尾の狐、玉藻前、葛の葉、白蔵主、管狐、オサキ狐など、狐の妖怪と稲荷信仰を由来の違いから紹介します。
診断評価
妖怪バウンダリー・タイプ指標
いたずら濃度
3.0high: 戯 low: 護
📝 メモ
美女に化けて君寵を得、妖気で病ませ幻術で惑わす。
変化適応
3.0high: 化 low: 定
📝 メモ
九尾狐が絶世の美女に化ける変化能力が核心である。
夜話度
1.0high: 夜 low: 昼
📝 メモ
狐妖の怪異性はあるが、夜限定の出没ではない。
情の深さ
2.0high: 縁 low: 境
📝 メモ
鳥羽院の寵愛を利用し、宮中への執念と逃走の物語を持つ。
結界強度
0.0high: 律 low: 流
📝 メモ
宮中から那須野へ移る流動性が強く、縄張り守護は薄い。
表舞台圧
3.0high: 表 low: 影
📝 メモ
宮中の寵姫として表舞台に立ち、正体暴露後も那須野で大事件化する。
妖怪相性診断
喜び
2.5喜びと楽しさの程度
📝 メモ
享楽・策謀の愉悦は示唆されるが、喜びを前面に出す描写は少ない。
怒り
7.5怒りの激しさの程度
📝 メモ
討伐に対し暴威をふるい、怨念が殺生石として残るなど怒りの強度が高い。
慈悲深い
1.5慈悲深さの程度
📝 メモ
教訓譚では権勢と欺瞞の象徴で、慈悲の発露は乏しい。
憂鬱
4.5憂鬱で思慮深い程度
📝 メモ
退治後の怨霊化や供養譚に哀切が滲むが、物語の主調ではない。
静寂
3.0内なる平静の程度
📝 メモ
冷然さはあるが内的平安というより計略と執念が前面。
いたずら好き
3.0いたずら好きで活発な程度
📝 メモ
狐譚特有の戯れはあるが、本伝承は悪性と策謀が中心で軽い悪戯性は低め。
やさしい
1.0やさしく親しみやすい程度
📝 メモ
宮廷で人心を惑わし病禍をもたらす存在として描かれ、親和・温和性は低い。
厳格
6.0厳格で真面目な程度
📝 メモ
冷然・執念深く目的遂行に厳格な面がうかがえるが、規律的道徳性とは異なる。
守護的
1.5他者を守る傾向
📝 メモ
守護的役割はほぼなく、退治譚の敵役。稀に供養縁起で鎮まりの説もあるが周縁的。
神秘的
9.0神秘的で不思議な程度
📝 メモ
絶世の美女の仮面と九尾の正体、幻術・惑乱、殺生石伝承など神秘性が極めて高い。
霊性の深さ
8.5精神的境界の深さ
📝 メモ
陰陽道・仏法・退治儀礼・霊石譚と深く結節し、宗教的・霊的層が厚い。
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